セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研49:

超音波内視鏡下吸引針生検(EUS-FNA)が診断に有用であった多発性骨髄腫膵浸潤の1例

演者 本多 舞(日本赤十字社長崎原爆病院消化器内科)
共同演者 竹下 茂之(日本赤十字社長崎原爆病院消化器内科), 町田 治久(日本赤十字社長崎原爆病院消化器内科), 重野 賢也(日本赤十字社長崎原爆病院消化器内科), 加治屋 勇二(日本赤十字社長崎原爆病院消化器内科), 佐伯 哲(国立病院機構長崎医療センター消化器科), 鶴田 正太郎(日本赤十字社長崎原爆病院消化器内科)
抄録  症例は68歳、女性。2010年1月に全身倦怠感を主訴に近医を受診し、貧血、高蛋白血症を指摘され精査目的に当院血液内科を紹介受診された。血中・尿中M蛋白(IgA-κ型)、骨髄中異型形質細胞(CD138陽性)増加より多発性骨髄腫(病期IIIA)と診断され、ボルテゾミブ+MP療法を開始された。治療開始後、M蛋白の減少を認めたが、全身倦怠感、食欲不振などの副作用のため中断。2010年10月よりM蛋白が再増加したため、レナリドミド+デキサメタゾン療法を開始され、再度M蛋白は減少し外来で治療継続中であった。2012年5月の定期受診時の診察にて上腹部に腫瘤を指摘され、腹部CTを施行されたところ膵頭部に7cm大の腫瘤を認めたため、精査目的に当科紹介となった。腹部造影CTでは膵頭部の腫瘤は造影効果に乏しく、腫瘤による主膵管の高度狭窄、脾静脈閉塞、上腸間膜静脈狭小化などの脈管浸潤を伴っていたが、大きさの割に主膵管の完全閉塞がない点や脈管浸潤の程度が比較的軽い点、腫瘤内を正常血管が貫通している点などが膵癌としては非典型的であった。CEA、CA19-9、DUPAN-2、SPAN-1などの腫瘍マーカーはいずれも正常であった。MRIでも膵管の狭小化は認めるもpatencyは保たれており、多発性骨髄腫による膵浸潤の可能性も考えられたため2012年7月4日に超音波内視鏡下吸引針生検(EUS-FNA)を施行した。採取された細胞はCD138陽性形質細胞でκの単クローン性を示しており骨髄腫細胞の浸潤に矛盾しない所見であった。多発性骨髄腫の膵浸潤は非常に稀であり、EUS-FNAによって確定診断がついた貴重な症例と考えられるため、若干の文献的考察も含めて報告する。
索引用語 多発性骨髄腫, EUS-FNA