セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年迄) |
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タイトル | 専53:脳死肝移植登録中にB型急性肝炎を発症した原発性胆汁性肝硬変の1例 |
演者 | 平江 麻衣(熊本大学大学院 消化器内科学) |
共同演者 | 川崎 剛(熊本大学大学院 消化器内科学), 吉丸 洋子(熊本大学大学院 消化器内科学), 泉 和寛(熊本大学大学院 消化器内科学), 溝部 典生(熊本大学大学院 消化器内科学), 渡邊 丈久(熊本大学大学院 消化器内科学), 福林 光太郎(熊本大学大学院 消化器内科学), 立山 雅邦(熊本大学大学院 消化器内科学), 田中 基彦(熊本大学大学院 消化器内科学), 佐々木 裕(熊本大学大学院 消化器内科学) |
抄録 | 症例は48歳、女性。2001年頃より肝障害を指摘されており、2010年に前医にて原発性胆汁性肝硬変(PBC)と診断された。肝酵素の高値が持続するため、2011年2月に当科紹介となり、UDCAおよびベザフィブラートにて治療を行っていたが、改善は乏しかった。診断当初よりALTは、100~150U/lと高値であることから、自己免疫性肝炎(AIH)の合併を疑ったが、病理所見を含めてPBC-AIH overlap症候群の診断には至らなかった。7月初旬にT-Bil 8.0mg/dl、ALT 320U/l、ALT 243U/lと黄疸の増強と肝酵素上昇を認めたため、プレドニゾロン 20mg/日内服を開始するとともに、脳死肝移植の登録をも行った。この時点で、他の肝障害の合併は否定的であった。一旦、T-Bilは4台、ALTは100-150前後に低下していたが治療抵抗性で、その後T-Bil は7台、ALTは100程度で推移し、肝不全の進行が懸念されたため、生体肝移植を検討していた。2012年7月の定期受診時の血液検査にて、T-Bilと肝酵素の再上昇(T-Bil 9.3mg/dl、AST 352U/l、ALT 259U/l)、およびこれまで正常であったプロトロンビン時間の延長(PT 56%)を認めたため入院となった。まずは原疾患の増悪を疑ったが、精査にてHBs抗原陽性、HBs抗体陰性、HBc抗体陽性とHBV感染が判明し、1年前はいずれも陰性であることから初感染と考え、肝障害増悪の原因はB型急性肝炎の併発によるものと診断した。慢性肝不全で肝移植の適応症例であったため、直ちにエンテカビル内服を開始した。その後、IgM-HBc抗体高力価陽性、HBV-DNA量 5.6 logコピー/ml、遺伝子型がAeであることが判明した。現在、肝酵素、PTはともに改善し重症化することなく経過している。今回、B型急性肝炎を発症したPBCの1例を経験した。慢性肝疾患の経過中に急激な肝機能増悪を認めた際には、原疾患の増悪のみならず、他の肝疾患の合併の可能性も念頭におき、精査を行う必要性を再認識させられた症例であり、文献的考察を含めて報告する。 |
索引用語 | 原発性胆汁性肝硬変, B型急性肝炎 |