セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専49:

肝転移を伴った食道原発小細胞癌の一例

演者 萱嶋 善行(福岡大学消化器内科)
共同演者 萱嶋 善行(福岡大学消化器内科), 横山 圭二(福岡大学消化器内科), 土屋 直壮(福岡大学消化器内科), 國本 英雄(福岡大学消化器内科), 四本 かおる(福岡大学消化器内科), 櫻井 邦俊(福岡大学消化器内科), 田中 崇(福岡大学消化器内科), 平野 玄竜(福岡大学消化器内科), 森原 大輔(福岡大学消化器内科), 西澤 新也(福岡大学消化器内科), 竹山 康章(福岡大学消化器内科), 入江 真(福岡大学消化器内科), 岩田 郁(福岡大学消化器内科), 釈迦堂 敏(福岡大学消化器内科), 早田 哲郎(福岡大学消化器内科), 向坂 彰太郎(福岡大学消化器内科)
抄録 症例は65歳男性。2002年8月に進行胃癌 (poorly differentiated carcinoma)、リンパ管浸潤および静脈浸潤あり)に対して胃全摘術を施行された。術後化学療法にて完全緩解 (CR)となり、2010年まで約8年間再発なく経過したため、通院を終了していた。2012年5月中旬より上腹部痛、背部痛を自覚するようになり、近医を受診。腹部超音波検査にて肝内に多発する腫瘍性病変を指摘されたため、当科紹介受診、同年6月23日当科入院となった。血液検査にて、腫瘍マーカーはSCC 0.7ng/ml (≦1.5)で、CEA 1228.3ng/ml (≦5.0)、CA19-9 4559U/ml (≦37)、NSE 266.0ng/ml (≦1.5)、pro GRP 10900.0pg/ml (≦81.0)、PIVKAII 12122mAU/ml (≦40)であった。造影CT、PET-CT検査、上部消化管内視鏡検査から、進行食道癌の多発肝転移および肺、骨、リンパ節転移と考えられた。また、食道腫瘍生検および肝腫瘍生検にて、ともに小細胞癌が強く疑われる所見を認めた。入院後数日で急速に全身状態は悪化した。化学療法の適応外と判断し、緩和治療を行っていたが、同年7月9日死亡された。食道原発の小細胞癌はまれな疾患であり、扁平上皮癌に比してリンパ節転移や血行性転移を高頻度に起こすとされ、病変が食道に限局した症例での平均生存期間は約11か月、食道外病変の存在する症例では約3か月と報告され、非常に予後の悪い疾患である。また本症例の食道癌は、未分化胃癌の完全緩解後、経過良好であったにも関わらず、約2年の間で発生、急速に進行しており、以前の未分化癌と関連している可能性も考えられたため、家族の同意を得て、病理解剖を行った。今回、病理解剖の結果と共に、本症例の発癌の形式に関して考察を加え、報告する。
索引用語 食道小細胞癌, 肝転移