セッション情報 一般演題

タイトル 102:

末梢に発生したIgG4関連肝炎症性偽腫瘍の1例

演者 糸島 尚(済生会熊本病院消化器病センター)
共同演者 竹口 真孝(済生会熊本病院消化器病センター), 藤山 俊一郎(済生会熊本病院消化器病センター), 門野 義弘(済生会熊本病院消化器病センター), 塩屋 公孝(済生会熊本病院消化器病センター), 吉田 健一(済生会熊本病院消化器病センター), 上川 健太郎(済生会熊本病院消化器病センター), 工藤 康一(済生会熊本病院消化器病センター), 浦田 淳資(済生会熊本病院消化器病センター), 近澤 秀人(済生会熊本病院消化器病センター), 今村 治男(済生会熊本病院消化器病センター), 多田 修治(済生会熊本病院消化器病センター), 神尾 多喜浩(済生会熊本病院 病理診断科)
抄録 【緒言】肝臓では以前から炎症性偽腫瘍の存在が知られており、最近の研究によりIgG4関連疾患によるものがあることが分かってきた。通常、IgG4関連胆管炎に伴い認められ、肝門部に多いとされる。今回我々は、肝末梢に発生したIgG4関連肝炎症性偽腫瘍の1例を経験したので、報告する。【症例】78歳男性。【現病歴】2012年2月かかりつけ医に便秘を主訴に受診し、単純CTを施行されたところ、肝臓に6cm大の腫瘍を指摘され精査加療目的に当科へ紹介となった。【既往歴】心筋梗塞 PCI・CABG後、感染性心内膜炎・僧帽弁置換術、ワーファリンや降圧薬などを内服中。【経過】腹部USでは肝S7辺縁に65×27mm大の長円形の低エコー腫瘤あり。CTでは同部に33×55mmの低吸収域が見られ、造影早期では内部の増強効果は不良、後期では腫瘍内部は不均一に増強された。腫瘤の背側部に、この腫瘍と連続して肝外~横隔膜上に結節影がみられ、横隔膜浸潤や胸膜播種の可能性も考えられた。また肝S6にも12mmの同様の造影後増強効果を呈する結節があり、肝内転移も疑われた。PET/CTではS7の腫瘍に強い集積を認めた。EOB-MRI肝細胞相では両病変とも低信号を呈した。形態と造影パターンからは肝内胆管細胞癌や肝細胞癌の肉腫様変化、転移性肝腫瘍、リンパ腫、肉腫などが鑑別に挙げられた。治療方針を検討したが、外科的な切除は困難と考えられ、化学療法の方針となった。経皮的腫瘍生検を行ったところ、形質細胞の浸潤を認め免疫染色でIgG4陽性でありIgG4関連肝炎症性偽腫瘍と診断した。PSL30mg/日で治療を開始し腫瘍は縮小傾向を示し経過良好である。【結語】肝末梢発生のIgG4関連肝炎症性偽腫瘍は稀であり、文献的な考察を交えて報告する。
索引用語 IgG4, 肝炎症性偽腫瘍