セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専12:

石灰乳胆汁をともなった総胆管結石・胆嚢結石にIncidental Gallbladder Cancerを合併した一例

演者 寺松 克人(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科)
共同演者 藤森 尚(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科), 河邉 顕(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科), 黒川 美穂(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科), 岩田 真悠子(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科), 中村 吏(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科), 国府島 庸之(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科), 吉本 剛志(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科), 福嶋 伸良(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科), 山口 恵梨子(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科), 柿ヶ尾 佳奈(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科), 岡本 梨沙(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科), 原口 和大(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科), 隅田 頼信(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科), 福泉 公仁隆(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科), 原田 直彦(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科), 中牟田 誠(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科), 佐田 正之(医療法人 佐田厚生会 佐田病院), 伊藤 鉄英(独立行政法人 国立病院機構 九州医療センター 消化器内科DELIMITER九州大学大学院医学研究院病態制御内科)
抄録 石灰乳胆汁は、高濃度の炭酸カルシウムを含む稀な胆汁組成である。今回、我々は石灰乳胆汁をともなった総胆管結石・胆嚢結石にIncidental Gallbladder Cancerを合併した一例を経験したので文献的考察を含め報告する。症例は57歳、女性。20XX年5月安静時右季肋部痛のため当院を受診した。右季肋部に圧痛と肝胆道系酵素、炎症反応の上昇を認め、胆嚢・胆管炎が疑われたため、精査・加療目的にて当科入院となった。入院時画像検査では、胆嚢結石・総胆管結石および肝内・肝外胆管の拡張を認め、さらに、胆嚢内・総胆管内に液面形成を伴った高吸収像の所見を認めた。胆嚢結石・総胆管結石による胆嚢・胆管炎と診断し、絶食、抗菌薬投与を開始した。総胆管結石の治療目的に施行した内視鏡的逆行性胆管造影検査では、主乳頭から白色調の胆汁の排出を認め、総胆管内に複数の小結石と思われる透亮像を認めた。乳頭切開施行後、大量の混濁した白色胆汁の排出を確認した。白色胆汁は、その外観と臨床・画像所見から、膿性胆汁よりも石灰乳胆汁が考えられた。内視鏡治療後は胆管炎の再燃は認めなかった。その後、胆嚢結石に対して腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した。病理所見では、胆嚢内に複数の白色結石と慢性胆嚢炎の所見を認めた。同時に胆嚢底部に粘膜不整な亜有茎性腫瘍を認め、高分化型腺癌の組織像であった。大部分は粘膜内癌であったが一部に漿膜浸潤を認めた。追加切除は行わず、現在S-1を用いた化学療法を施行中である。石灰乳胆汁を示す症例では、その特殊な胆汁組成のため、胆嚢・胆管内の微細な粘膜病変は、画像検査では判別困難となることが多い。本症例でも術前に胆嚢内の腫瘍性病変の同定は困難であった。石灰乳胆汁と胆道癌合併の報告は少ないものの、常に悪性腫瘍の合併を念頭におき、注意深い検索が重要と考えられた。
索引用語 石灰乳胆汁, Incidental Gallbladder Cancer