セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専08:

下血をきたし腹部造影CTが診断に有用であった小腸動静脈奇形の1例

演者 畑山 勝子(田主丸中央病院消化器科)
共同演者 大原 次郎(田主丸中央病院消化器科), 高田 康道(田主丸中央病院消化器科), 大塚 雄一郎(田主丸中央病院消化器科), 川本 研一郎(田主丸中央病院消化器科), 野見山 圭太(田主丸中央病院放射線科), 鬼塚 英雄(田主丸中央病院放射線科), 大門 裕貴(筑紫病院消化器内科), 佐藤 祐邦(筑紫病院消化器内科), 矢野 豊(筑紫病院消化器内科), 松井 敏幸(筑紫病院消化器内科), 境 隆暢(筑紫病院放射線科), 東原 秀行(筑紫病院放射線科), 田邉 寛(筑紫病院病理部), 岩下 明徳(筑紫病院病理部), 永川 祐二(筑紫病院外科)
抄録 症例は70歳代男性。2011年11月21日より黒色便が出現し11月24日近医を受診した。上部消化管内視鏡検査で異常なく、S状結腸内視鏡検査にて全結腸内に暗赤色の凝血塊を認めた。Hb:13.6g/dlと貧血はなく経過観察となった。11月26日に意識レベル低下し当院へ救急搬送された。搬入時Hb:7.7g/dlと貧血を認め、赤血球濃厚液を4単位輸血した。さらに輸血を行ったが11月28日Hb:8.3と低下しており、同日施行した全結腸内視鏡検査で回腸末端口側より新鮮血液の流出を認め、活動性の小腸出血と考えた。腹部造影CTにて左下腹部小腸壁の限局性の造影効果増強と、数珠状に拡張した血管、同部より還流する静脈の拡張を指摘され、小腸動静脈奇形(AVM)を強く疑った。そのため11月29日に筑紫病院消化器内科へ転院し経口的ダブルバルーン小腸内視鏡検査(DBE)を施行したが出血源は同定できなかった。引き続き血管造影検査を施行したところ第5空腸動脈末梢に早期静脈還流を示す瘤状の血管を認め、小腸AVMと診断し責任血管にコイル塞栓術を施行した。12月2日に施行した小腸カプセル内視鏡(CE)で下部小腸に潰瘍が疑われた。12月7日に経肛門的DBEを施行したところバウヒン弁より約200mm口側のコイル塞栓術部に一致して開放性潰瘍を認めた。また造影CTでAVMの血流残存も確認され、根治的治療のため12月8日に同院外科にて回腸部分切除術を施行した。近年CE、DBEの発達により小腸出血に関する診断アルゴリズムや血管性病変の内視鏡分類などが提唱されている。本症例は内視鏡像は確認できなかったが、矢野-山本分類Type3に相当すると考えられる。ただ内視鏡、またCTでも病変を特定できない例も未だ多いと考えられる。今回は造影CTで指摘できた小腸AVMの一例を報告する。
索引用語 小腸動静脈奇形, 小腸出血