セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研36:

左側大腸癌イレウスに対する術前減圧治療としての大腸用ステント留置術の経験

演者 花牟禮 聡美(日赤長崎原爆病院消化器内科)
共同演者 町田 治久(日赤長崎原爆病院消化器内科), 竹下 茂之(日赤長崎原爆病院消化器内科), 重野 賢也(日赤長崎原爆病院消化器内科), 加治屋 勇治(日赤長崎原爆病院消化器内科), 鶴田 正太郎(日赤長崎原爆病院消化器内科), 中崎 隆行(日赤長崎原爆病院外科)
抄録 【はじめに】大腸癌イレウスに対して、欧米では大腸ステントを用いて緊急手術を回避し、一期的に切除吻合術を行うことが広く普及している。本邦においては、今年よりWall-Flex消化管ステントが術前の閉塞症状の解除、及び姑息的治療の適応として保険収載された。当院でも術前の腸管減圧目的に大腸ステント留置術を施行した4症例を経験したのでその方法と結果を報告する。【対象】2012年3月から6月までに大腸癌により閉塞性イレウスを来した4症例。年齢は51歳、62歳、67歳、75歳。男性1例、女性3例。癌の部位はS状結腸3例、直腸1例。このうちスコープの狭窄部通過可能例は2例。【方法】透視下でも狭窄部位が明瞭になるように内視鏡下に腫瘍肛門側にmarking clipを留置。続いてガイドワイヤーを内視鏡下・透視下に腫瘍の口側に進め、内視鏡を抜去。透視下ガイドワイヤー下に大腸用ステント(WallFlex Colonic;口径22mm、長さ90mm)を留置。【結果】1例は経肛門イレウスチューブからの交換で、全例OTW(Over-The-Wire)にて挿入。ステントの留置は全例成功し、有効性を排便の有無で判断したところ、全例で有効であった。大腸ステント留置時・留置後の合併症である腸管穿孔・逸脱・大出血・ステント内閉塞は認めなかった。内科入院となった3例はステント留置後2日目より食事を開始し、7日以内に一旦自宅退院となり、後日外科にて待期的手術が施行された。手術までの平均日数は24.3日(21-28日)。また当初より外科で入院となった1例は、ステント留置後3日目には食事を開始し、13日目に待期的手術が施行された。全例一期的な腹腔鏡補助下腸切除術が施行された。大腸癌の深達度は全例SSで、進行度はStage II 2例、Stage IIIa 1例、Steage IIIb 1例。【結語】経肛門的大腸ステント留置術は腸管減圧および留置後の患者のQOLが良好で有効な手技と考えられた。また高齢者における経肛門イレウス管挿入時の自己抜去の問題もないため、左側大腸癌イレウスに対して標準的治療となる可能性が示唆された。
索引用語 大腸ステント, 大腸イレウス