セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研59:

高濃度酸素療法にて軽快した腸管嚢胞性気腫症

演者 太田 浩二(製鉄記念八幡病院)
共同演者 森下 寿文(製鉄記念八幡病院), 平田 敬(製鉄記念八幡病院), 中村 滋郎(製鉄記念八幡病院), 江崎 幹宏(九州大学大学院病態機能内科学), 松本 主之(九州大学大学院病態機能内科学)
抄録 症例は63歳女性。平成24年3月突然強い腹痛と軟便が出現したため前医を受診した。腹部エコーにて腸管壁に限局的腫脹を認めたため抗生剤内服にて経過観察していたが、改善が見られなかったため当科紹介受診となった。腹部造影CTにて上行結腸~肝弯曲部の腸管壁内にガス像を認めたため腸管嚢胞性気腫症(pneumatosis cystoides intestinalis:以下PCI)を疑った。大腸内視鏡にて盲腸~横行結腸にかけて軟らかい粘膜下腫瘍様隆起が多発しておりPCIと診断した。鎮痙剤内服にて外来フォローしていたが症状が軽快しなかったため、高濃度酸素療法目的にて当科入院となった。PaO2を20mmHg以上に保つようにフェイスマスクにて酸素5L/分を1日5時間14日間投与した。腹部症状は次第に軽減し、酸素投与終了時の腹部単純CTではガス像が完全に消失した。PCIはトリクロロエチレンなどの有機溶剤長期曝露歴、αグルコシダーゼ阻害薬内服中、膠原病の合併症として認められることが多いが、原因のわからない特発性も稀に報告されている。今回リスクとされる基礎疾患がなく単独で発症したPCIに対して高濃度酸素療法が著効した症例を経験したため、文献的考察を加えて報告する。
索引用語 腸管嚢胞性気腫症, 高濃度酸素療法