セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研82:

Trisomy8を伴う汎血球減少を合併した多発小腸潰瘍の一剖検例

演者 石川 枝美(宮崎大学医学部附属病院第1内科DELIMITER宮崎大学医学部附属病院卒後臨床研修センター)
共同演者 仮屋 暢人(宮崎大学医学部附属病院第1内科), 原口 大(宮崎大学医学部附属病院第1内科), 三宮 一朗(宮崎大学医学部附属病院第1内科), 三木 吾郎(宮崎大学医学部附属病院第1内科), 星子 新理(宮崎大学医学部附属病院第1内科DELIMITER宮崎大学医学部病理学講座腫瘍・再生病態学分野), 松本 英丈(宮崎大学医学部附属病院第1内科), 中島 孝治(宮崎大学医学部附属病院第1内科), 芦塚 伸也(宮崎大学医学部附属病院第1内科), 稲津 東彦(宮崎大学医学部附属病院第1内科), 北村 和雄(宮崎大学医学部附属病院第1内科), 梅北 佳子(宮崎大学医学部病理学講座腫瘍・再生病態学分野), 片岡 寛章(宮崎大学医学部病理学講座腫瘍・再生病態学分野), 和田 俊介(宮崎大学医学部附属病院第2外科), 鬼塚 敏男(宮崎大学医学部附属病院第2外科)
抄録 症例は67歳男性。血便、著明な貧血のために入院となり、回腸に多発する抜き打ち潰瘍を認めた。HLA-B51抗原陽性で、腸管ベーチェット病が疑われたが、主症状や他の副症状は認めず、診断には至らなかった。出血コントロールのために回盲部および回腸切除術を施行した。術後経過良好で当院退院となったが、術後、約2か月目に再び血便が出現し、再入院となった。残存回腸、上部空腸に打ち抜き潰瘍を認め、露出血管からの出血を認めた。内視鏡的止血術を施行し、PSL投与を開始した。しかし、潰瘍は徐々に口側にも伸展し、十二指腸下降脚にも出血性潰瘍が出現し、消化管出血を繰り返した。同時期に、もともと認めていた汎血球減少症が増悪した。骨髄検査では、腫瘍性所見は認めなかったが、低形成像を呈し、Trisomy8であった。その後、感染も合併し、G-CSF製剤、抗生剤投与を行った。消化管出血に感染増悪も伴い、全身状態が悪化し、術後約4ヶ月で死亡した。死亡後剖検を行い、残存小腸に多発する潰瘍を確認した。Trisomy8は急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群などで認められる染色体異常であるが、Trisomy8を伴う腸管ベーチェット病の症例も報告されている。本症例は上記のいずれの血液疾患とも確定診断はなされてはいないが、Trisomy8を伴う汎血球減少と腸管病変との関連が強く示唆される症例として重要と考えられた。画像、臨床経過を提示し、若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 小腸潰瘍, 汎血球減少