セッション情報 一般演題

タイトル 013:

ペグインターフェロンα2a /リバビリン療法で多形紅斑型薬疹を生じたC 型慢性肝炎に対し天然型インターフェロンβ/リバビリン療法でウイルス排除が得られた一例

演者 楠元 寿典(古賀総合病院内科DELIMITER宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学)
共同演者 土持 舞衣(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学), 中村 憲一(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学), 白土 明美(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学), 岩切 久芳(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学), 蓮池 悟(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学), 永田 賢治(宮崎大学肝疾患センター), 落合 俊雅(古賀総合病院内科), 今村 卓郎(古賀総合病院内科), 立山 直(南部病院皮膚科DELIMITER宮崎大学皮膚科学講座), 下田 和哉(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学)
抄録 【症例】59歳女性、2010年にC型慢性肝炎と診断され、HCVRNA 6.6logIU/ml, HCV genotype 1b, ALT 33IU/L、肝生検検査(F1,A1), IL28Bはメジャーアレルであり、 2011年X月から、二重濾過血漿交換療法(DFPP)/ 天然型インターフェロン(IFN)β先行+ペグインターフェロン(PEG-IFN)α2a/リバビリン(Rib)併用療法を48週投与の予定で開始された。この際の天然型IFNβとPEG-IFNα2aのプリックテストは陰性であった。治療4週後のHCVRNAは陰性であり、予定通りの治療ができた場合は高いC型肝炎ウイルス(HCV)消失率が期待された。治療5週目からPEG-IFNα2a皮下注射部位に掻痒感を伴う軽度の紅斑と腫脹が出現した。ステロイド外用と抗ヒスタミン薬を併用したが皮疹は消失せず、8回目の投与翌日には全身に浮腫性の紅斑が出現した。単純ヘルペスウイルス感染、マイコプラズマ感染は否定的であり、皮膚生検検査で多数の表皮細胞の壊死および基底層の液状変性,真皮上層の細胞浸潤と浮腫を認めた。PEG-IFNα2a/Rib療法を中止しステロイド外用と抗ヒスタミン薬内服を継続したところ、約3週間で皮疹は消失し経過からPEG-IFNα2aによる多形紅斑型薬疹が強く疑われた。PEG-IFNα2aとRib、天然型IFNβのDLST検査は陰性であった。このまま治療を中止した場合はHCVの再燃が起こる可能性が高いこと、天然型IFNβ先行治療で副作用が出現しなかったことから、約4週間の治療中断後から、PEG-IFNα2aを天然型IFNβに変更してIFNβ/Rib併用療法を40週間の予定で開始した。十分な説明を行い入院で治療を再開した。その後皮膚症状は出現せず予定治療を完遂し持続的ウイルス陰性を達成した。【結語】近年PEG-IFN やリバビリン、テラプレビルを用いることで、HCV排除率は飛躍的に向上したが,副作用によって治療継続ができないことがある。PEG-IFNαの副作用で治療を継続できない例では、PEG-IFNαをIFNβに変更することで治療が継続できる可能性がある。
索引用語 C型肝炎, IFNβ