セッション情報 一般演題

タイトル 086:

超高齢者に発症し経口ステロイド薬が奏功して良好な経過をたどっている後腹膜線維症(IgG4関連疑い)の1例

演者 藤山 俊一郎(済生会熊本病院 消化器病センター)
共同演者 工藤 康一(済生会熊本病院 消化器病センター), 吉松 亜希子(済生会熊本病院 消化器病センター), 齊藤 宏和(済生会熊本病院 消化器病センター), 井戸 佑美(済生会熊本病院 消化器病センター), 鈴木 博子(済生会熊本病院 消化器病センター), 糸島 尚(済生会熊本病院 消化器病センター), 須古 信一郎(済生会熊本病院 消化器病センター), 門野 義弘(済生会熊本病院 消化器病センター), 村岡 正武(済生会熊本病院 消化器病センター), 塩屋 公孝(済生会熊本病院 消化器病センター), 上川 健太郎(済生会熊本病院 消化器病センター), 浦田 淳資(済生会熊本病院 消化器病センター), 近澤 秀人(済生会熊本病院 消化器病センター), 今村 治男(済生会熊本病院 消化器病センター), 多田 修治(済生会熊本病院 消化器病センター), 廣田 和彦(済生会熊本病院 中央検査部)
抄録 症例は91歳女性。高血圧症にて近医通院中であった。胆石症で開腹胆嚢摘出術の既往がある以外には基礎疾患なし。2012年3月にルーチンで腹部超音波検査を施行されたところ左水腎症を認め、腹部単純CTを施行された。後腹膜腫瘍を認め精査目的で当科に紹介となった。発熱、腹痛などの自覚症状はないが、触診にて体表から左上腹部を中心に腫瘤を触知した。腹部超音波検査、腹部造影CTにて左後腹膜を主座に長径13cm大の輪郭不整な軟部組織腫瘤を認め、前傍腎腔~骨盤後腹膜まで広がっていた。また肝外側区に径2cm大の腫瘤を認めていたが、後腹膜腫瘍と同様に造影早期相での増強効果は低かった。左尿管は狭窄し、水腎症を呈していた。PET/CTでは同部位に軽度の異常集積を認めた。血液検査ではIgG4 420.0mg/dl、sIL-2R 1100 U/mlと上昇していた。その他に明らかな原発巣は指摘できず、後腹膜原発の腫瘍と判断した。悪性リンパ腫や平滑筋腫瘍、脂肪肉腫、神経原性腫瘍、悪性線維性組織球腫などを鑑別に挙げたが、大血管周囲のいわゆるサンドイッチサインから悪性リンパ腫と後腹膜線維症の可能性が高いと考えられた。また触診ではリンパ腫にしては硬く、総合すると後腹膜線維症を第一に考えた。超高齢であり侵襲的な化学療法の希望もなかったため、生検は施行せず、本人とご家族の同意を得たうえで後腹膜線維症として治療を開始することとした。PSL 30mgより開始し、徐々に漸減し現在10mgを投与中である。治療開始後3ヵ月目での腹部単純CTで後腹膜腫瘍は縮小傾向で、IgG4も低下傾向にある。超高齢者であり生検などの侵襲的検査は行っていないが、状況から後腹膜線維症と判断し良好な経過をたどっている1例について発表する。現在の超高齢社会においてこのような状況は日常診療においてしばしば遭遇すると思われる。
索引用語 後腹膜線維症, IgG4関連