セッション情報 一般演題

タイトル 123:

原発性小腸癌の1例

演者 村田 朋哉(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター)
共同演者 岡本 健太(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター), 宮副 由梨(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター), 荻原 久美(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター), 後藤 高介(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター), 矢嶌 弘之(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター), 西山 仁(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター)
抄録 【症例】47歳男性
【主訴】嘔吐
【現病歴】2008年6月に嘔気嘔吐出現。9月に近医を受診したが、以後症状増悪し当院紹介となった。
【理学所見】特記事項なし
【検査所見】Hb:15.1g/dL、CEA:1.6ng/ml、CA19-9:32.6U/ml、CA125:13.1U/ml
【経過】上部消化管内視鏡検査及び腹部造影CTにて上部空腸に全周性の腫瘍性病変を認めた。生検では高分化型腺癌であった。病変周囲リンパ節以外の転移は明らかでなく他に原発を疑う所見も認めなかったため原発性小腸癌と診断し2008年10月に小腸切除およびリンパ節郭清を施行した。
術後病理検査では原発性小腸癌として矛盾しないものの、CK7陽性、CK20陰性、TTF1陰性であり、異所性膵組織から発生した可能性も否定できなかった。AJCCステージ分類ではT3N1M0、pstageIIIで治癒切除と判断した。
術後補助化学療法のエビデンスは無いものの、若年発症ということもあり術後S-1を開始した。6コース投与後に肺腫瘤、及び腹部皮下腫瘤が出現した。肺転移・皮下転移の診断にて右下肺葉切除・腹壁切除を行った。術後GEM投与を開始したが、9コース投与後に腹壁再発が疑われた。再度開腹術施行し腹壁及び小腸周囲に結節を認めたため同時に切除した。残存腫瘍に対し術後mFOLFOX6投与開始し、9コース後Bevacizumab(Bev.)を追加した。15コース投与後肺転移、腹腔内腫瘍の増大を認めPDと判断した。FOLFIRI+Bev.に変更したが、腸閉塞発症にて中止した。外科的腸閉塞解除術は困難で緩和医療へと移行し2012年4月に永眠された。
【考察】小腸癌に対する化学療法は一般的に胃癌や大腸癌に準じるとされる。本症例では大腸癌に対する化学療法を中心に分子標的薬も併用し42ヶ月と比較的良好な予後が得られた。
【結語】外科的切除術および化学療法が有効であった原発性小腸癌の1例を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 小腸癌, 化学療法