セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専88:

肝細胞癌に対する定位放射線療法後に門脈血栓症を発症した一例

演者 川平 真知子(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学)
共同演者 熊谷 公太郎(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 小薗 雅哉(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 船川 慶太(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 大野 香織(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 豊倉 恵理子(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 大重 彰彦(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 今中 大(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 玉井 努(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 森内 昭博(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 宇都 浩文(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 桶谷 眞(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 井戸 章雄(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 坪内 博仁(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学)
抄録 【はじめに】肝細胞癌に対する定位放射線療法は、従来の放射線治療に比べ、高い局所制御率を保ちながら、周辺臓器の組織障害を軽減できる治療として有用性が報告されている。しかし、合併症や長期予後に関しては不明な点が多く、それらの評価が課題となっている。今回我々は、肝細胞癌に対して定位放射線療法を行い、門脈血栓症を来した症例を経験したので報告する。【症例】75歳女性。背景肝はC型肝硬変。2008年10月に肝S4の肝細胞癌を指摘され、以後TACE(3回)およびRFAを施行したが局所再発を繰り返したことから、同部位に対して2012年7月定位放射線治療を施行した。1日12.5Gyを4日間、総線量50Gyを照射した。day 3に全身倦怠感と食思不振を軽度認めたが、血液検査では肝胆道系酵素の上昇や凝固亢進はなかった。Day 9に施行した腹部超音波検査と腹部造影CT検査で門脈左枝に門脈血栓を認めた。放射線照射前の腹部造影CT検査では、門脈血栓はなく、放射線照射後に形成された門脈血栓と判断し、ワーファリン内服及びAT-III製剤投与による抗凝固療法を開始し、現在経過観察中である。現時点では肝不全への移行はなく、全身状態は良好である。【考察】肝細胞癌に対する定位放射線治療後に門脈血栓を形成した一例を経験した。定位放射線療法は低侵襲で、高い治療効果を期待できる治療法と考えられるが、定位放射線療法後は門脈血栓を合併する可能性があることも留意し、経時的な画像評価が必要と考えられた。
索引用語 肝細胞癌, 定位放射線療法