セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年迄) |
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タイトル | 専10:クローン病の病勢との関連が示唆された深部静脈血栓症の一例 |
演者 | 社本 多恵(鹿児島共済会南風病院) |
共同演者 | 島岡 俊治(鹿児島共済会南風病院), 仁王 辰幸(鹿児島共済会南風病院), 松田 彰郎(鹿児島共済会南風病院), 西俣 伸亮(鹿児島共済会南風病院), 豊田 真理(鹿児島共済会南風病院), 政 幸一郎(鹿児島共済会南風病院), 田代 光太郎(鹿児島共済会南風病院), 新原 亨(鹿児島共済会南風病院), 西俣 嘉人(鹿児島共済会南風病院), 堀 雅英(鹿児島共済会南風病院), 西俣 寛人(鹿児島共済会南風病院) |
抄録 | 静脈血栓塞栓症は発症するとその後の生活に多大な影響を与えるため、炎症性腸疾患において十分に認識しておく必要がある消化管外病変の一つである。今回われわれはクローン病の病勢との関連が示唆された深部静脈血栓症を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。【症例】21歳女性。【経過】2004年(12才時)発症の小腸大腸クローン病。栄養療法、内服治療で寛解が得られず、2005年にインフリキシマブ療法を導入したが、その後も肛門周囲膿瘍、大腸病変の活動性炎症が持続していた。2011年2月よりアダリムマブ療法を開始した。導入後一時的に症状の緩和が得られたが、寛解には至らなかった。2011年4月に右下腿の浮腫を主訴に受診。画像診断にて深部静脈血栓症及び肺動脈塞栓症と診断された。ワーファリンによる抗凝固療法後、血栓は一時的に改善傾向となったが、同年5月クローン病による肛門部およびS状結腸、直腸の炎症所見の悪化に伴い血栓塞栓症は再び増悪した。さらに栄養状態、全身状態の悪化がみられたため、同年12月横行結腸に人工肛門造設術を行った。以降、炎症所見の改善に伴い深部静脈血栓は消失し、現在クローン病、血栓塞栓症ともに寛解状態が保てている。【考察・結語】炎症性腸疾患における静脈血栓の原因としては中心静脈カテーテル留置、ステロイド・メトトレキサート等の薬剤の副作用等が報告されている。本症例は原疾患の寛解に伴い速やかに血栓の消失が得られたことからクローン病の病勢と血栓塞栓症の関連が示唆された。医中誌で検索したところ、上記のような誘因無くクローン病に合併した静脈血栓症は下大静脈血栓症2例、腕頭静脈血栓症1例、上矢状静脈洞血栓症1例のみであり深部静脈血栓症を来した症例報告はなく、貴重な症例であると考えられた。 |
索引用語 | 炎症性腸疾患, 深部静脈血栓症 |