セッション情報 一般演題

タイトル 107:

画像上早期腫瘍濃染像がみられた末梢型肝内胆管癌の一例

演者 井本 圭祐(公立八女総合病院内科)
共同演者 永松 洋明(公立八女総合病院内科), 水上 直久(公立八女総合病院放射線科), 堤 翼(公立八女総合病院内科), 平井 真吾(公立八女総合病院内科), 丸岡 浩人(公立八女総合病院内科), 城野 智毅(公立八女総合病院内科), 徳安 秀紀(公立八女総合病院内科), 渡辺 次郎(公立八女総合病院病理部), 吉田 博(公立八女総合病院内科), 鳥村 拓司(久留米大学消化器内科), 佐田 通夫(久留米大学消化器内科)
抄録 【はじめに】画像上早期造影効果が増強した結節においては、肝細胞癌との鑑別を含め診断に苦慮することがある。今回、CT、MRIにおいて早期濃染がみられた結節で末梢型肝内胆管癌と組織診断された一例を経験したので報告する。【症例】67歳、女性。2008年1月HCV抗体陽性を指摘され、慢性C型肝炎と診断された。同年3月からペグインターフェロン+リバビリン併用療法をおこなったが、インターフェロンに対するアレルギー症状が出現し、ウイルスは陰性化はせず2009年1月に中止とした。外来経過観察中、2012年5月14日の腹部エコーにて肝S8に腫瘍径15×15mmの結節を認めた。EOB-DTPA造影MRIにて同部位は、早期濃染を認め、後期相では造影効果は遷延し、肝細胞相は欠損像として描出された。また入院後動注CTを行い、CTAPでは欠損像として描出された。CTHA早期では腫瘍全体の造影効果増強を認め、CTHAの1分後、2分後 delayでも造影効果の遷延がみられ、コロナ濃染はみられなかった。腫瘍マーカーは、AFP : 17.3 ng/mL、L3 : 9.4%、DCP : 26 mAU/mL、CA19-9 : 16.5 U/mLであった。肝機能は良好であり、細胆管癌が疑われ、肝腫瘍生検で確認し、7月5日、肝S8亜区域切除、背側S1部分切除術を施行した。切除標本は16x15mm大の単発性の腫瘤で、病理像は浸潤性の増殖を示し、小型異型胆管からなり、全体の70 %は細胆管癌で30%は胆管癌と思われる充実性の増殖巣も認めた。腫瘍細胞はHepatocyte陰性でEMA、CK7、CK19陽性であり、病理診断は末梢型の肝内胆管癌と診断された。【まとめ】肝内胆管癌の画像の特徴としては、造影CTにおいて早期には腫瘍周囲が造影され、後期に中心が造影され遷延するとされる。今回の症例において造影早期に濃染像がみられたのは、細胆管癌の成分を多く含んでいたためと考えられる。肝細胞癌との鑑別は動注CTのdelayでコロナ濃染がみられるか否かで容易に可能である。画像診断を正確に行い、正しい治療方針をたてることが重要と考えられた。
索引用語 肝内胆管癌, 早期濃染