セッション情報 一般演題

タイトル 133:

回腸末端部および回盲部に打ち抜き潰瘍を呈した双子症例

演者 山口 俊介(佐賀大学医学部付属病院)
共同演者 芥川 剛至(佐賀大学医学部付属病院), 二尾 健太(佐賀大学医学部付属病院), 樋口 徹(佐賀大学医学部付属病院), 山口 太輔(佐賀大学医学部付属病院), 坂田 資尚(佐賀大学医学部付属病院), 藤瀬 剛弘(佐賀大学医学部付属病院), 下田 良(佐賀大学医学部付属病院), 福田 佳代子(佐賀大学医学部付属病院DELIMITERひらまつ病院), 坂田 祐之(佐賀大学医学部付属病院), 岩切 龍一(佐賀大学医学部付属病院), 藤本 一眞(佐賀大学医学部付属病院)
抄録  症例は50歳代、女性。(姉)2009年より再発性口内炎が出現し近医にて加療を受けていた。2012年3月炎症所見が上昇し、ベーチェット病疑いにて当院紹介となった。口腔内に潰瘍を認める以外は眼症状,外陰部潰瘍,皮膚症状などの所見は認めなかった。下部消化管内視鏡検査にて、回盲部および回腸末端部に打ち抜き潰瘍を認めた。病理組織所見では、びらん、浮腫、炎症細胞浸潤と炎症性肉芽組織を認めたが、類上皮肉芽腫は認めなかった。ベーチェット病の診断基準は満たさず、口腔内アフタを伴った単純性潰瘍と診断し、5-ASAの内服を開始した。内服開始2カ月後の検査では、潰瘍は残存するものの縮小傾向を認め、入院当初認めていた低栄養状態も改善した。(妹)以前より再発する口内炎を認めていた。2011年10月、腹痛、食欲不振の原因検索のため腹部CTを施行され、小腸腫瘍を疑う所見を認めたため、精査目的に当院紹介となった。眼症状,外陰部潰瘍,皮膚症状などの所見は認めなかったが、内視鏡検査にて回腸末端部に打ち抜き潰瘍を認めた。病理組織所見では、炎症細胞浸潤、浮腫などの所見で、類上皮肉芽腫は認めなかった。回盲弁の通過障害を認め、腹痛が持続するため、他院にて外科的切除を施行された。術後、症状なく経過している。ベーチェット病は再発性の口腔内アフタ性潰瘍、皮膚症状、眼症状、外陰部潰瘍を4主徴とする全身性の難治性慢性炎症性疾患であり、副症状として回盲部を中心とする打ち抜き様の非特異性潰瘍を形成することがある。消化管病変が症状の中心である場合を腸管ベーチェット病と呼称し、これに対して主症状を認めず同様の腸管病変を呈するものを単純性潰瘍と呼んでいる。両疾患はその潰瘍において同一の病理組織像を呈し、その異同が論じられているが、いずれも病因は不明である。今回我々は同疾患において極めて稀である双子症例を経験したので多少の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 単純性潰瘍, 双子