セッション情報 ワークショップ「消化器疾患と生活習慣(病)」

タイトル W1-05:

C型慢性肝炎に対するIFN治療効果にはインスリン抵抗性、内臓脂肪蓄積および骨格筋脂肪化が関連する

演者 井手 康史(佐賀大学 肝臓・糖尿病・内分泌内科)
共同演者 河口 康典(佐賀大学 肝疾患地域支援学), 岡田 倫明(佐賀大学 肝臓・糖尿病・内分泌内科), 小平 俊一(佐賀大学 肝臓・糖尿病・内分泌内科), 蒲池 紗央里(佐賀大学 肝臓・糖尿病・内分泌内科), 桑代 卓也(佐賀大学 肝臓・糖尿病・内分泌内科), 大枝 敏 (佐賀大学 肝疾患地域支援学), 中下 俊哉(佐賀大学 肝臓・糖尿病・内分泌内科), 岩根 紳治(佐賀大学 肝臓・糖尿病・内分泌内科), 江口 有一郎(佐賀大学 肝疾患地域支援学), 尾崎 岩太(佐賀大学 保健管理センター), 水田 敏彦(佐賀大学 肝臓・糖尿病・内分泌内科)
抄録 【目的】C型慢性肝炎(CHC)に対するPeg-IFN+RBV治療において、インスリン抵抗性や肝脂肪化がその治療効果に影響することが指摘されている。また、インスリンの主要な標的臓器の一つである骨格筋の脂肪化もインスリン抵抗性に影響することが知られている。CHCに対するPeg-IFN+RBV治療効果に対するインスリン抵抗性と内臓脂肪、皮下脂肪、骨格筋脂肪化などの影響を検討した。
【方法】対象:2005年1月~2009年11月にPeg-IFN+RBV療法を導入し効果判定可能であったgenotype 1bかつ高ウイルス量CHC193例のうち、治療期間<40週、糖尿病薬または抗脂薬内服中を除外した170例。164例でOGTTを施行しインスリン抵抗性の指標であるHOMA-IR及びWBISIを評価した。また、91例で臍部CTにより内臓脂肪面積(VFA)と皮下脂肪面積(SFA)、骨格筋(多裂筋)脂肪化(IMAC)を評価した。年齢、性、BMI、HOMA-IR、WBISI、VFA、SFA、IMAC、組織学的所見などについてSVRに寄与する因子を単変量及び多変量解析にて検討した。
【結果】単変量解析では年齢、HOMA-IR、WBISI、VFA、肝線維化、IMACがSVRと関連を認め、多変量解析では年齢、WBISI、IMACが有意に関連していた。男女別に検討を行うと、男性ではVFAとIMACおよび肝線維化が、女性においてはWBISIが独立因子としてSVRに寄与していた。女性におけるインスリン抵抗性は48歳以降に有意に増強していた。
【結論】男性においては骨格筋脂肪化と内臓脂肪蓄積が治療効果に関連していることから、食事・運動療法など生活習慣への適切な介入がIFN治療効果を増強させうる可能性が示唆された。女性においてはインスリン感受性のみがIFN治療効果に関連しているので、生活習慣のみでなく女性ホルモン動態に着目した介入が必要かもしれない。
索引用語 インスリン抵抗性, インターフェロン