セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専92:

当初は肝腫瘍が疑われた悪性腹膜中皮腫の一例

演者 高城 克暢(社団法人天草郡市医師会立天草地域医療センター外科)
共同演者 有馬 浩太(社団法人天草郡市医師会立天草地域医療センター外科), 土井 康郎(社団法人天草郡市医師会立天草地域医療センター外科), 高田 登(社団法人天草郡市医師会立天草地域医療センター外科), 吉仲 一郎(社団法人天草郡市医師会立天草地域医療センター外科), 原田 和則(社団法人天草郡市医師会立天草地域医療センター外科)
抄録 【目的】悪性中皮腫は体腔を覆う漿膜に発生する比較的稀な腫瘍の一つである。胸膜に発生することが多く、次いで腹膜、心膜、精巣鞘膜での発生が報告されている。今回、当初は肝腫瘍が疑われた、右横隔膜の腹膜由来と考えられる悪性中皮腫の一例を経験したので報告する。【症例】67歳、女性。検診の腹部超音波で肝S7に低エコー腫瘤を認め、当科を受診した。超音波では肝S7に55mm大の低エコー腫瘤を認めたが、造影MDCTでは、腫瘍辺縁が被膜様に造影されたが、内部はほとんど造影されず、矢状断では右横隔膜下の肝外の腫瘍のようにも思われた。MRIではT2強調画像で腫瘍辺縁が高信号、中心部は低信号で、T1強調画像では低信号であった。Dynamic MRIでは腫瘍中心部を主体にゆっくり造影された。PET-CTでは右横隔膜下の腫瘤にSUVmax=2.3~2.9の集積を認めた。また、右肺上下葉間にもSUVmax=2.9の集積を認め、転移が疑われた。以上より、右横隔膜下の悪性腫瘍(脂肪肉腫やMFHなど)を疑った。手術は胸腹連続切開にて、右横隔膜下腫瘍摘出、右肺部分切除術を施行した。主病巣は96×62×25mmで右横隔膜腹側に軟らかく存在し、周囲の横隔膜には播種と思われる小結節を認めた。腫瘍と肝とは索状に癒着するのみであった。腫瘍と周囲の小結節を含む横隔膜を合併切除した。腫瘍から少し離れた左右横隔膜の2ヶ所の結節は腹膜とともに切除した。またPET-CTで集積像を認めた右肺上葉S3に28×16×13mmの小腫瘤を認め、肺部分切除を行った。病理の結果は悪性中皮腫(epithelioid type)の診断であった。左右横隔膜の結節、右肺腫瘤も同様の病理診断であった。【まとめ】当初は肝腫瘍が疑われた右横隔膜下腫瘍に対し、腫瘍摘出、右肺部分切除術を施行した。結果、稀な腹膜由来の悪性中皮腫であった一例を経験したので報告した。
索引用語 悪性中皮腫, 横隔膜下腫瘍