セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年迄) |
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タイトル | 専86:肝生検組織での診断が有用であった慢性活動性EBウイルス感染症の一例 |
演者 | 鈴木 翔(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学) |
共同演者 | 中村 憲一(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学), 蓮池 悟(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学), 山田 優里(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学), 上原 なつみ(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学), 大園 芳範(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学), 竹田 幸子(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学), 夏田 朱一郎(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学), 土持 舞衣(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学), 橋本 神奈(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学), 山路 卓巳(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学), 白土 明美(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学), 三池 忠(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学), 安倍 弘生(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学), 岩切 久芳(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学), 山本 章二朗(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学), 上運天 綾子(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学), 日高 智徳(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学), 永田 賢治(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学), 村田 光宏(宮崎医療センター病院), 下田 和哉(宮崎大学医学部内科学講座消化器血液学) |
抄録 | 【初めに】今回我々は肝生検にて確定診断に至った慢性活動性EBウイルス感染症の一例を経験したため報告する。【症例】41歳女性。2011年3月の検診で肝障害を指摘された。同年9月にSweet病と診断され加療をうけたがその後肝障害の増悪(ALT 400台)がみられた。サイトメガロウイルス感染症と診断され、経過観察となり一旦軽快したものの2012年6月に発熱、倦怠感が出現。ALT 924、LDH 850、腹部CTで肝脾腫がみられ、その後増悪し、血小板減少も進行したため当科へ転院となった。ALT 1400、LDH 1200、T-Bil 2.0、フェリチン2600。骨髄穿刺にて血球貪食像を認め、血球貪食症候群と診断されたが原因が不明であった。APTTのみの延長を認め、抗リン脂質抗体症候群や後天性血友病などの合併も疑われ、クロスミキシング試験でも鑑別できず、出血が憂慮される状況であったが、インフォームドコンセントのもと血液製剤を補充しながら肝生検をおこなった。術後腹腔内出血をきたしたがTAEと原疾患の治療開始により止血した。病理組織ではTリンパ球の浸潤とEBウイルス感染細胞を多数認め、血液中のEBウイルスDNA高値とあわせて、慢性活動性EBウイルス感染症と診断できた。化学療法を開始し、一時肝障害および肝脾腫は改善傾向であったものの、その後増悪を認め、入院45日目に死亡した。【考察】慢性活動性EBウイルス感染症は、発熱・肝脾腫・リンパ節腫脹などの伝染性単核症様症状が長期間持続し、抹消血中のEBウイルス量と、EBウイルス抗体の異常高値を特徴とする疾患で、年間10~20症例の報告がある。合併症としてEBウイルス関連血球貪食性リンパ組織球症、間質性肺炎、悪性リンパ腫の罹患率が高く予後不良である。治療法は確立されておらず、抗ウイルス療法、免疫抑制療法、化学療法など行われているが効果は不十分である。伝染性単核球症様の症状が反復または持続する場合、本疾患を疑いウイルス学的検査、罹患臓器の病理検査を積極的に行い、早期に診断をつけ治療を開始することが大切である。 |
索引用語 | 肝脾腫, 血球貪食症候群 |