セッション情報 | 専修医発表(卒後3-5年迄) |
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タイトル | 専40:早期の血漿交換導入が奏効したO-157腸管出血性大腸炎に伴う溶血性尿毒症症候群(HUS)の一例 |
演者 | 中野 みち子(宮崎大学医学部循環体液制御学分野DELIMITER古賀総合病院) |
共同演者 | 仮屋 暢人(宮崎大学医学部循環体液制御学分野), 原口 大(宮崎大学医学部循環体液制御学分野), 三宮 一朗(宮崎大学医学部循環体液制御学分野), 三木 吾郎(宮崎大学医学部循環体液制御学分野), 星子 新理(宮崎大学医学部循環体液制御学分野), 松本 英丈(宮崎大学医学部循環体液制御学分野), 中島 孝治(宮崎大学医学部循環体液制御学分野), 芦塚 伸也(宮崎大学医学部循環体液制御学分野), 稲津 東彦(宮崎大学医学部循環体液制御学分野), 北村 和雄(宮崎大学医学部循環体液制御学分野) |
抄録 | 【症例】53歳、女性。【経過】生来健康、2011年11月初旬に焼肉屋でホルモンの食歴あり。同月10日より嘔気、発熱、水様性下痢が出現し、翌日より下痢回数の増加と血便を認めるようになった。11月12日当科を受診し、右下腹部に強い圧痛を認め、腹部超音波検査(US)およびCTにて回盲部から横行結腸にかけて非常に強い腸管壁の肥厚・腫大、周囲脂肪織への炎症波及を認めた。重症感染性腸炎と考え、当科入院の下、絶食・補液管理、LVFX500mg/day内服を開始した。入院時の便検査よりベロ毒素が検出され、腸管出血性大腸菌(EHEC)性大腸炎と診断した(3日目にO-157同定)。その後、腹部症状は順調に改善し、入院4日目には下痢・血便等の腹部症状は消失した。しかし、血液検査にて軽度のビリルビンの上昇(T-bil 1.4 mg/dL)とLDH上昇(258 IU/L)を認め、溶血の存在が示唆された。入院6日目に全身倦怠感が出現し、著明な血小板減少(5.6万 /μL)、溶血性貧血(Hb 10.8 g/dl、LDH 506 IU/L、T-bil 2.7 mg/dl)および軽度腎機能障害(BUN 18.8 mg/dl、Cre 0.8 mg/dl)を認めた。貧血および腎障害は軽度であったが溶血性尿毒症症候群(HUS)と診断し、同日より血漿交換療法を導入した。5日間の血漿交換にて溶血性貧血と血小板減少が改善した。腎機能障害は軽度残存したが検尿異常は消失し、US・CTでも腸炎所見の改善を認めたため11月27日(入院16日目)に退院となった。退院3か月後には腎機能障害も自然軽快した。【考案】EHEC感染症がHUSを合併する頻度は約10%と報告され、そのうち約5%が急性期に死亡し、5~10%が慢性腎不全に移行するといわれている。HUSの治療として積極的な血漿交換療法の導入が有効とされており、本症例においても後遺症を残さず症状・検査所見の改善が得られた。HUS合併O-157大腸炎に関し文献的考察を加えて報告する。 |
索引用語 | O-157腸管出血性大腸炎, 溶血性尿毒症症候群 |