セッション情報 一般演題

タイトル 145:

腸閉塞にて発症した十二指腸の腸症型T細胞リンパ腫の1例

演者 豊増 靖(大牟田市立病院消化器内科)
共同演者 田宮 芳孝(大牟田市立病院消化器内科), 森田 拓(大牟田市立病院消化器内科), 安本 紗代(大牟田市立病院消化器内科), 大内 彬弘(大牟田市立病院消化器内科), 垣内 誠也(大牟田市立病院消化器内科), 河野 克俊(大牟田市立病院消化器内科), 山内 亨介(大牟田市立病院消化器内科), 笹原 弘子(八女公立総合病院外科), 島松 一秀(大牟田市立病院病理診断科), 坂田 研二(大牟田市立病院消化器内科), 野口 和典(大牟田市立病院消化器内科), 鶴田 修(久留米大学病院内科学講座消化器内科部門), 佐田 通夫(久留米大学病院内科学講座消化器内科部門)
抄録 【はじめに】腸症型T細胞リンパ腫の本邦報告例は50例程度であり消化管悪性疾患の中で非常に稀である。今回、我々は腸閉塞にて発症した十二指腸の腸症型T細胞リンパ腫の1例を経験したので若干の文献的考察を交えて報告する。【症例】82歳男性。2012年1月頃より食物のつかえ感を自覚し、4月頃から嘔気・嘔吐を認めていた。前医での上下部消化管内視鏡検査では特記所見はなかったが、腹部CTにおいて十二指腸水平脚部の管腔狭小化とそれに伴う高位イレウスを認めたため精査加療目的で同年5月に当科紹介となった。低緊張性十二指腸造影を行い、十二指腸水平脚に高度狭窄を伴う約3cmの陰影欠損を認めた。小腸内視鏡検査では全周性の不整形潰瘍性病変で、辺縁は耳介様の周堤を呈していた。以上の所見及び生検結果より悪性リンパ腫疑いとして十二指腸部分切除術を施行した。病理組織学的所見では核形不整を示す大型~中型の異型細胞のmonotonousな浸潤増殖を認めた。免疫染色にてCD3(+)、CD45RO(+)、TIA-1(+)、 granzyme B(+)であり腸症型T細胞リンパ腫と診断した。術後PET-CTでは異常集積を認めなかったが、骨髄生検にて骨髄浸潤を認めたことより、Navqi分類にてstageIVでありCHOP療法を施行している。【考察】本疾患は穿孔や腸閉塞など急性腹症で発症し診断がつかない状態で緊急手術を選択されることが多く予後も不良である。本症例は術前に精査を行い悪性リンパ腫疑いとして待機的に手術を施行し得た貴重な症例である。今後は小腸検査の普及に伴い、本症例のような病変の増加が予想されるが、病状や随伴所見に応じて効率よく小腸内視鏡検査を施行することが重要である。
索引用語 腸症型T細胞リンパ腫, 小腸内視鏡検査