セッション情報 一般演題

タイトル 087:

肝障害,C.difficile関連下痢症をきたし治療に難渋したrefeeding syndromeの一症例

演者 立花 雄一(済生会福岡総合病院 内科)
共同演者 明石 哲郎(済生会福岡総合病院 内科), 土田 治(済生会福岡総合病院 心療内科), 池田 浩子(済生会福岡総合病院 内科), 江崎 充(済生会福岡総合病院 内科), 富田 洋介(済生会福岡総合病院 内科), 向井 康二(済生会福岡総合病院 内科), 水谷 孝弘(済生会福岡総合病院 内科), 吉村 大輔(済生会福岡総合病院 内科), 落合 利彰(済生会福岡総合病院 内科)
抄録 refeeding syndromeは慢性的な半飢餓状態の患者に過剰なブドウ糖を与えることで生じる電解質異常に起因する多臓器障害であり,適切な栄養投与,電解質補正を行わずに加療を続けると致死的になりうる病態である.我々は今回黄疸,発熱を来たし急性胆管炎を疑われて入院となり,refeeding syndromeの診断で加療を行い軽快した症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.症例は38歳男性.主訴は発熱,食思不振.15歳ごろから外出せず自宅で過ごすことが多く,食事摂取も少なかった.来院3か月前から食思不振を認め前医入院.EGDでは異常なし.入院後も食事摂取不良で,発熱に対し抗菌薬投与,進行する貧血に対し鉄剤投与,RCC投与を繰り返し,栄養摂取は経静脈的高カロリー輸液投与となっていた.2週間前より40度の発熱を認め,CTRX投与するも改善せず黄疸を認めるようになったため精査加療目的で当科紹介となった.また頻回の下痢あり,来院直前の便にてC.difficileが検出された.来院時意識清明,血圧100/73mmHg,脈拍100/分,体温36.0度,SpO2 95%(room air).るいそう著明,齲歯多発.WBC 6900/μl,Hb 6.9g/dl,Plt 5.1万/μl,T.bil 13.9mg/dl,CRP 6.5mg/dl.P 2.0mg/dl.CT上胆道系に拡張なし,閉塞機転なし.結腸に浮腫あり,小腸ガスあり.C.difficile関連下痢症(CDAD)に対しVCM内服投与開始.DICによる多臓器不全と考えガベキサートメシル酸塩,トロンボモジュリン アルファ投与を開始.また貧血に対しRCC投与を行った.しかし骨髄穿刺で骨髄低形成の結果でありDICは否定的となり薬剤投与中止.肝障害,貧血,血小板減少とも微量元素不足やrefeeding syndromeによるものと考え,栄養投与を静脈栄養約800kcal/dayと少量の経腸栄養から開始.リン,カリウム,微量元素の投与も行った.増悪傾向だった黄疸は5病日より改善傾向となり,血小板減少は6病日から,貧血も10病日から改善傾向となった.CDADの改善に伴い下痢は軽快,少量ながら経口摂取も可能となった.18病日には静脈栄養中止,経腸栄養1500kcal/dayまで増量した.リハビリ目的で24病日転院となった.
索引用語 refeeding syndrome, 肝障害