セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 108:肝癌根治後に天然型IFNα少量漸増法の長期投与により無再発が得られているC型肝硬変の一例 |
演者 | 橋口 正史(霧島市立医師会医療センター) |
共同演者 | 山崎 成博(霧島市立医師会医療センター), 長谷川 将(霧島市立医師会医療センター), 藤崎 邦夫(霧島市立医師会医療センター), 小田 耕平(鹿児島大学消化器内科), 宇都 浩文(鹿児島大学消化器内科), 桶谷 眞(鹿児島大学消化器内科), 坪内 博仁(鹿児島大学消化器内科) |
抄録 | 【症例】66歳 女性.【現病歴】C型慢性肝炎(1b型高ウイルス量)に対して,近医および当院でSNMCおよびUDCAによる肝庇護療法を行っていたが,ALTは80~120IU/lと高値で推移していた.2005年にPEG-IFNα2b+RBV併用療法を開始したが,皮疹や倦怠感など副作用のため1週間で中止となった.2007年4月肝S8にHCCが出現しTACE+RFAを施行,2008年10月肝S8HCC局所再発およびS5異所再発に対してTACE+RFAを施行した.その後,HCCの再発はなく,C型肝硬変に対するIFN再治療を目指し脾摘やPSEを勧めたが同意が得られなかった.IFN少量長期療法の方針で,2009年6月IFN導入のため当院に入院した.【血液検査所見】WBC 3000/μl,好中球 1420/μl,RBC 388万/μl,Hb 12.6g/dl,Plt 6.0万/μl,PT 66%,AST 62IU/l,ALT 51IU/l,T-bil1.0 mg/dl,γ-GTP 42IU/l,Alb 4.0g/dl,AFP 47ng/ml,PIVKA-II 16mAU/ml,HCV-RNA 6.6logIU/ml,HCV genotype 1b. 【臨床経過】入院後,血小板低値のために天然型IFNα100万単位を週2回投与で開始した.血球系に注意して200万~300万単位に漸増した.その後,近医でPEG-IFNα2a 45~60μgの隔週投与に変更されたが,ALTが上昇したため天然型IFNαに戻した.当初ALTの改善は乏しかったが,γ-GTPやAFPの低下がみられたため治療継続した.治療開始から3年経過した現在も継続中で,ALTは30IU/lまで徐々に低下し,またAFPも10ng/ml台まで低下がみられ,HCCの再発は認めていない.なお経過中のHCV-RNA量は不変である.【考察】本例は,PEG-IFNα2b+RBV併用療法不耐性のHCC合併C型肝硬変例であり,HCC根治治療後に再発抑制目的にIFNαによる少量長期療法を行った.汎血球減少のため少量漸増法により天然型IFNαを導入した.治療開始後HCV-RNAの減少やALTの改善は得られなかったが,γ-GTPとAFPの低下を認めたため治療継続し,最終的にALTおよび肝予備能の改善,HCCの再発抑制効果が得られている.3剤併用療法を含めてPEG-IFN/RBV併用療法が困難な場合,天然型IFNα少量漸増法による長期投与が有効な症例もあると考えられた. |
索引用語 | C型肝硬変, インターフェロン |