セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 025:未分化肉腫様癌と診断した肝癌の一切除例 |
演者 | 松本 佳大(九州大学大学院 消化器・総合外科) |
共同演者 | 調 憲(九州大学大学院 消化器・総合外科), 副島 雄二(九州大学大学院 消化器・総合外科), 吉住 朋晴(九州大学大学院 消化器・総合外科), 池上 徹(九州大学大学院 消化器・総合外科), 山下 洋市(九州大学大学院 消化器・総合外科), 相島 慎一(九州大学大学院 形態機能病理学), 播本 憲史(九州大学大学院 消化器・総合外科), 戸島 剛男(九州大学大学院 消化器・総合外科), 吉屋 匠平(九州大学大学院 消化器・総合外科), 中川原 英和(九州大学大学院 消化器・総合外科), 川崎 淳司(九州大学大学院 形態機能病理学), 木村 光一(九州大学大学院 消化器・総合外科), 前原 喜彦(九州大学大学院 消化器・総合外科) |
抄録 | 【はじめに】肝細胞癌の3~5%には上皮系、非上皮系マーカーともに陽性である肉腫様変化が認められ、通常の肝細胞癌と比べ予後は非常に悪い。今回、我々は上皮系の性格を持ちながら肝細胞癌の形態がなく、かつ肉腫様変化をともなう未分化型肉腫様癌と診断した極めて稀な一切除例を経験したので報告する。【症例】77歳。女性。C型肝炎、高血圧、糖尿病、高脂血症にて近医フォロー中に腹部エコーにてS5/8に60mm大の肝腫瘍を認めた。腹部CTにて腫瘍は門脈右葉前区域枝への浸潤を認め、後区域枝への浸潤も疑われた。肝機能は、Child Pugh score 5(Grade A)、腫瘍マーカーの上昇を認めなかった。ICGR15値19.6%で、肝右葉切除後の予定残肝が過小であったため、化学療法としてGEM+CDDP+5-FUが全4コース施行された。当院紹介後、経皮経肝門脈塞栓術(PTPE)を施行し、肝右葉切除を施行した。病理検査の結果、腫瘍は広範囲に壊死しており、一部にspindle cell、free cellを認めた。免疫染色にて非上皮系マーカーであるvimentinは強陽性、上皮系マーカーのEMA、AE1/AE3、E-cadherinは弱陽性であることから、未分化肉腫様癌と診断した。現在、術後6ヶ月経過しているが転移・再発を認めていない。【まとめ】肉腫様変化を伴う肝癌は、文献的には肝切除を行った症例においても平均生存期間が5.5ヶ月、3年生存率9%との報告もあり、転移、再発の多い極めて予後不良であると報告されている。その要因としてfree cell typeの様に播種しやすい細胞の形態的特徴が考えられる。今回のように術前化学療法、PTPEを施行することは、肉腫様癌におけるfree cell type の細胞の播種を抑制し術後予後の改善に有効である可能性が示唆された。 |
索引用語 | 肝癌, 肉腫様癌 |