セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専60:

来院時血清カルシウム値が正常範囲であった原発性副甲状腺機能亢進症が原因の急性膵炎の1症例

演者 高松 悠(独立行政法人 国立病院機構 福岡東医療センター 消化器肝臓内科)
共同演者 田代 茂樹(独立行政法人 国立病院機構 福岡東医療センター 消化器肝臓内科), 桑野 哲史(独立行政法人 国立病院機構 福岡東医療センター 消化器肝臓内科), 松岡 順子(独立行政法人 国立病院機構 福岡東医療センター 消化器肝臓内科), 清水 聡孝(独立行政法人 国立病院機構 福岡東医療センター 消化器肝臓内科), 澤村 紀子(独立行政法人 国立病院機構 福岡東医療センター 消化器肝臓内科), 多田  靖哉(独立行政法人 国立病院機構 福岡東医療センター 消化器肝臓内科), 松井 謙明(独立行政法人 国立病院機構 福岡東医療センター 消化器肝臓内科), 大越 惠一郎(独立行政法人 国立病院機構 福岡東医療センター 消化器肝臓内科), 坂井 慈実(独立行政法人 国立病院機構 福岡東医療センター 消化器肝臓内科), 田中 宗浩(独立行政法人 国立病院機構 福岡東医療センター 消化器肝臓内科)
抄録 【はじめに】急性膵炎の入院加療中に,来院時正常であった血清カルシウム値が上昇し、副甲状腺機能亢進症の診断に至った症例を経験したので、若干の文献的考察を加えて報告する。【症例】症例は30歳代女性。主訴は腹痛。既往歴:特記事項なし。生活歴:飲酒は機会飲酒。現病歴:X年10月腹痛を自覚。近医を受診し、内服薬処方されるも症状は改善せず当院救急外来を受診。膵酵素上昇と軽度の膵腫大、腹痛のため、急性膵炎の診断で入院となった。入院時検査成績では血清カルシウム値は正常範囲。動脈血液ガス所見でBEが-3.2mmol/Lであり急性膵炎の予後因子はスコアは1点。CT gradeIIIであった。入院後、蛋白分解酵素阻害薬と抗菌薬、輸液により血清アミラーゼ値は低下し、症状は改善したが、徐々に血清カルシウム値が上昇した。高感度PTHを測定したところ、517pg/mlと高値であった。副甲状腺シンチで甲状腺右下極に集積を認めた。MENの鑑別のため、各種内分泌ホルモンを検体として提出したが、軽度の副甲状腺機能亢進症を認めた以外は所見を得られなかったため、否定的であった。原発性副甲状腺機能亢進症の診断で翌年4月に当院呼吸器外科で副甲状腺摘出術を施行し、血清カルシウム値は正常化した。現在は定期的に外来で経過を見ているが膵炎、高カルシウム血症とも再発していない。【結語】原発性副甲状腺機能亢進症が原因の急性膵炎を経験した。急性膵炎の原因のひとつとして高カルシウム血症があるが、入院時にマスクされていることもあり注意が必要と考えられた。
索引用語 膵炎, 原発性副甲状腺機能亢進症