セッション情報 ワークショップ「消化器疾患と生活習慣(病)」

タイトル W1-03:

鹿児島県における糖尿病と脂肪肝発生頻度のこの20年間の推移

演者 今村 也寸志(鹿児島厚生連病院)
共同演者 平峯 靖也(鹿児島厚生連病院), 山下 容雅(鹿児島厚生連病院DELIMITER鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 草野 健(鹿児島県厚生連健康管理センター), 田原 憲治(鹿児島厚生連病院), 宇都 浩文(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 桶谷 真(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 井戸 章雄(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学), 坪内 博仁(鹿児島大学消化器疾患・生活習慣病学)
抄録 【目的】糖尿病の増加は現代日本の重大な社会問題である。今回の研究では、糖尿病とその危険因子である肥満、脂質異常、高血糖、脂肪肝の鹿児島県における発生頻度について、ここ20年間の変化を比較・検討した。【方法】1991年から2011年までの5年ごとの人間ドック受診者を対象とした。糖尿病は空腹時血糖126 mg/dl以上とした。脂肪肝の診断は腹部超音波検査で行った。【結果】1991年から5年ごとの肥満の頻度は、男性では増加する(27.0、29.0、28.4、30.5、31.1 %、P for trend<0.001)ものの、女性では減少していた(23.4、25.2、22.6、21.1、20.5、P for trend<0.001)。糖尿病の発生頻度は男女ともに有意に増加した(男性、6.0、8.9、10.0、10.8、12.0 %、P for trend<0.001;女性、3.3、4.5、4.2、4.1、5.1 %、P for trend = 0.003)。脂肪肝の発生頻度は男女ともに増加していた(男性、10.8、26.3、33.8、36.7、38.0、P for trend<0.001;女性、6.5、16.7、22.2、21.3、20.8 %、P for trend<0.001)。糖尿病と脂肪肝の変化は、層別解析で年齢やBMIで調整後でも有意差を認めた。高血圧の頻度は男性でのみ、脂質異常の発生頻度では女性でのみ、有意な増加が見られた。【考察】糖尿病の発症でBMIは重要な危険因子であるが、最近の糖尿病の発症率の増加については、BMI以外の因子も考慮されるべきである。脂肪肝の発生頻度が男女ともに増加したことは、脂肪肝が糖尿病の病態と関連することを示すと考えられた。
索引用語 脂肪肝, 糖尿病