セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 121:食道扁平上皮癌におけるLINE-1メチル化の意義 |
演者 | 河野 浩幸(九州大学大学院 消化器・総合外科DELIMITER九州大学大学院 がん分子病態学講座) |
共同演者 | 北尾 洋之(九州大学大学院 がん分子病態学講座), 日高 元(九州大学大学院 消化器・総合外科), 笠木 勇太(九州大学大学院 消化器・総合外科), 津田 康雄(九州大学大学院 消化器・総合外科), 由茅 隆文(九州大学大学院 消化器・総合外科), 大津 甫(九州大学大学院 消化器・総合外科), 武谷 憲二(九州大学大学院 消化器・総合外科), 安藤 幸滋(九州大学大学院 消化器・総合外科), 井田 智(九州大学大学院 消化器・総合外科), 木村 和恵(九州大学大学院 消化器・総合外科), 佐伯 浩司(九州大学大学院 消化器・総合外科), 沖 英次(九州大学大学院 消化器・総合外科), 森田 勝(九州大学大学院 消化器・総合外科), 楠本 哲也(九州大学大学院 消化器・総合外科), 前原 喜彦(九州大学大学院 消化器・総合外科) |
抄録 | (はじめに)Long interspersed nuclear element-1 (LINE-1)はゲノム全体にわたって存在する転位因子であり、ヒトゲノムの約17%を占めることから、LINE-1DNAのメチル化はゲノム全体のメチル化指標とされている。癌細胞では正常細胞に比較してゲノム全体のメチル化レベルが低下し、癌の悪性度が高いほど LINE-1 DNA のメチル化は低下することが種々の癌で報告されている。(目的)食道扁平上皮癌におけるLINE-1のメチル化レベルと臨床病理学的因子および予後との関連を明らかにする。(対象と方法)2000~2010年までの期間にて、術前無治療で手術を行った食道扁平上皮癌55例を対象とした。癌部と非癌部組織のDNAをそれぞれバイサルファイト処理した後、パイロシークエンス法にてLINE-1のメチル化解析を行った。(結果)癌部と非癌部におけるLINE-1メチル化レベルはそれぞれ26.7-67.7%(平均48%)、55-78%(平均66%)であった。いずれの症例においても癌部の方が非癌部よりLINE-1メチル化は低下していた。癌部におけるLINE-1メチル化レベルを低メチル化群と高メチル化群に分けて臨床病理学的因子との関連を解析したところ、分化度が高~中分化の症例(p=0.033)、リンパ管侵襲を認める症例(p=0.0035)、p53のmutationがある症例(p=0.014)、病期が3期以上の症例(p=0.036)において低メチル化症例が有意に多かった。また予後との関連では、5年生存率が高メチル化群で63%、低メチル化群にて32%となり、明らかな有意差はないものの低メチル化群にて予後不良となる傾向を認めた(p=0.18)。(結語)LINE-1メチル化が低い症例では、進行癌の症例が有意に多く、また予後不良となる傾向があることから、LINE-1メチル化は予後因子となる可能性が示唆された。 |
索引用語 | 食道扁平上皮癌, LINE-1メチル化 |