セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専23:

潰瘍性大腸炎に合併した関節炎に対してインフリキシマブが有効であった1例

演者 仲松 元二郎(琉球大学医学部附属病院 第一内科)
共同演者 島袋 耕平(琉球大学医学部附属病院 第一内科), 富里 孔太(琉球大学医学部附属病院 第一内科), 伊良波 淳(琉球大学医学部附属病院 第一内科), 東新川 実和(琉球大学医学部附属病院 第一内科), 金城 徹(琉球大学医学部附属病院 光学医療診療部), 井浜 康(琉球大学医学部附属病院 第一内科), 知念 寛(琉球大学医学部附属病院 光学医療診療部), 岸本 一人(琉球大学医学部附属病院 第一内科), 外間 昭(琉球大学医学部附属病院 第一内科), 金城 福則(琉球大学医学部附属病院 光学医療診療部)
抄録 【緒言】潰瘍性大腸炎(UC)の腸管外合併症として関節炎が存在することはよく知られているが、本邦では末梢関節炎に比し軸性関節症(仙腸骨関節炎・強直性脊椎炎)は比較的少ないとされる。今回、我々はUC関連仙腸及び末梢関節炎に対して、インフリキシマブ(IFX)が有効であった症例を経験したので報告する。【症例】40歳、女性【現病歴】平成14年に腹痛と粘血便(10回以上)が出現し、前医で左側結腸炎型のUCと診断され、5-ASA製剤が開始された。平成15年にUCが増悪し、さらに膝、肘、踵痛が出現したため、プレドニゾロン(PSL)の内服が開始された。その後、ステロイド注腸やアザチオプリンが追加され、下痢や血便は軽快し、内視鏡的にも寛解を維持していた。しかし、関節症状については、著明な改善は認められず、平成24年4月、加療目的に当院へ紹介された。外来でPSL 30mg隔日投与と白血球除去療法が施行されたが、関節症状は改善なく、精査加療目的に同年7月に当院入院となった。【入院時現症】腰背部叩打痛とアキレス腱付着部の圧痛あり。WBC 14800 /μl、CRP 1.37mg/dl、赤沈 12mm(1時間値)、抗核抗体陰性、リウマチ因子陰性、抗CCP抗体陰性、補体活性正常、MMP3 264.6ng.ml、抗SS-A抗体陰性、抗SS-B抗体陰性、HLA-B27陽性。骨盤レントゲンにて右仙腸関節裂隙狭小化と骨硬化像を指摘。【入院後経過】関節症状、骨盤レントゲン所見及びHLA-B27陽性であることから、潰瘍性大腸炎関連関節炎と診断した。ステロイドや白血球除去療法による寛解が得られない関節炎と判断し、IFX(5mg/kg)を導入した。投与後1日目に両踵と膝の痛みが著明に改善した。腰痛も徐々に改善し、現在外来にて経過良好である。【結語】UCに合併したステロイド抵抗性の仙腸及び末梢関節炎に対してIFX投与が奏効した症例を経験した。貴重な症例と考えられたため、若干の文献的考察をふまえて報告する。
索引用語 仙腸関節炎, 潰瘍性大腸炎