セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研46:

Gastrinomaの経過中に異所性ACTH産生腫瘍によると思われるCushing症候群様症状をきたした一例

演者 飯福 沙織(公益社団法人鹿児島共済会南風病院)
共同演者 島岡 俊治(公益社団法人鹿児島共済会南風病院), 社本 多恵(公益社団法人鹿児島共済会南風病院), 豊田 真理(公益社団法人鹿児島共済会南風病院), 西俣 伸亮(公益社団法人鹿児島共済会南風病院), 政 幸一郎(公益社団法人鹿児島共済会南風病院), 田代 光太郎(公益社団法人鹿児島共済会南風病院), 松田 彰郎(公益社団法人鹿児島共済会南風病院), 仁王 辰幸(公益社団法人鹿児島共済会南風病院), 新原 亨(公益社団法人鹿児島共済会南風病院), 西俣 嘉人(公益社団法人鹿児島共済会南風病院), 堀 雅英(公益社団法人鹿児島共済会南風病院), 西俣 寛人(公益社団法人鹿児島共済会南風病院)
抄録 症例は60歳代女性。2008年5月に検診で肝胆道系酵素の上昇を指摘され、膵頭部腫瘍が疑われたが、精査を希望せず放置されていた。2009年7月に腫瘍圧排による閉塞性黄疸をきたした。チューブステントを留置後の精査で、切除不能膵頭部癌(T4N2M0,stage IVb)と診断されたが、治療を希望せず経過観察となっていた。同年8月に十二指腸潰瘍穿孔を起こし、以後十二指腸潰瘍出血を繰り返した。膵腫瘍に対してEUS-FNAを施行し悪性内分泌腫瘍と診断され、血液検査でガストリン 2646pg/ml(基準範囲 <200pg/ml)と高値であったためGastrinomaと診断された。PPI投与により十二指腸潰瘍の再燃はみられなかった。2011年より原発巣の増大、多発肝転移が出現した。同年11月からオクトレオチドによる治療を開始し、以後、膵頭部の腫瘤の増大はみられていなかった。2012年6月頃より、原因不明の低K血症、低Cl血症を認めるようになり、その後満月様顔貌、中心性肥満、耐血糖能の低下などの症状が出現した。ACTH 309pg/ml(基準範囲 7.2-63.3pg/ml)、コルチゾール 23.6μg/dl(基準範囲 4.0-18.3μg/dl)と高値であった。頭部MRIで下垂体腺腫はみられず、臨床経過も併せて異所性ACTH産生腫瘍によりCushing症候群様症状をきたしたと考えられた。その後、状態が悪化し約半月後に永眠された(剖検施行できず)。膵内分泌腫瘍においてもACTHが産生されることがあり、報告も散見される。本症例では、全身状態が悪化したため、それ以上の精査は行えなかったが、異所性ACTH産生腫瘍によると思われるCushing症候群として矛盾せず、肝転移巣の増大後よりCushing症候群様症状を呈したことから、肝転移巣からのACTH産生が推測された。貴重な症例と考えられたため若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 Gastrinoma, 異所性ACTH産生腫瘍