セッション情報 一般演題

タイトル 082:

CDDPによると考えられたSIADHを発症した一例

演者 前田 英仁(川内市医師会立市民病院)
共同演者 指宿 和成(川内市医師会立市民病院), 伊瀬知 毅(川内市医師会立市民病院), 坪内 博仁(鹿児島大学大学院消化器疾患・生活習慣病学)
抄録 【はじめに】化学療法の有害事象として、骨髄抑制・消化器症状・肝腎機能障害などの頻度が高いが、まれに重篤な意識障害を発症する。意識障害の1つに抗悪性腫瘍剤が誘因となるSIADHに伴う低Na血症の報告がある。今回、原発不明癌に対してFP療法を行ったところ、SIADHに伴う低Na血症にて意識障害をきたした一例を報告する。【症例】70歳、男性。4年前に当院で下部食道のhigh grade intraepithelial neoplasiaに対してESDを施行した既往がある。胃体上部後壁に、頂部に潰瘍を伴うSMT様隆起を認め近医より当院紹介となった。腹部造影CT、EUSにて腹腔内に約40mm大のリンパ節の腫脹を認め、同病変の胃壁への穿破による隆起と判断した。組織検査ではsquamous cell carcinomaであった。PETでも原発巣は同定できなかった。原発不明癌としてFP療法を施行することとした。FP療法6日目に痙攣、意識障害が出現した。Na 108mEq/lと低下あり、血清浸透圧、尿浸透圧、尿中Na濃度からSIADHと診断した。FP療法は中止とし、3%NaCl投与を行なった。その後、Naは正常値となり、症状改善した。【考察】CDDPによるNa異常の頻度は5.4%とされている。SIADHの前兆としての有意な所見は血清Na値の低下であるが、52.6%で重篤な意識障害が出現してから初めてSIADHを指摘しているとの報告がある。CDDPを使用する際は有害事象として低Na血症があることを認知しておく必要があると考えられた。
索引用語 CDDP, SIADH