セッション情報 一般演題

タイトル 100:

当院における肝膿瘍症例の検討

演者 島袋 容司樹(沖縄県立中部病院消化器科)
共同演者 松林 万葉(沖縄県立中部病院消化器科), 本部 卓也(沖縄県立中部病院消化器科), 山田 航希(沖縄県立中部病院消化器科), 知念 健司(沖縄県立中部病院消化器科), 久保田 富秋(沖縄県立中部病院消化器科), 菊地 馨(沖縄県立中部病院消化器科)
抄録 【目的】当院における肝膿瘍症例について臨床的検討を行った【方法】2010年1月1日より2012年5月31日までの2.5年間の入院診療録をもとにretrospectiveに分析、当院で入院加療された肝膿瘍症例42例を対象とした。【成績】男性20例,女性22例,平均年齢は73.05歳で、70歳以上の患者が全体の約6割を占めていた。症状については発熱が全体の90.5%で認めたが、その他に多い症状としての腹痛、嘔気嘔吐、食欲低下や、意識障害、ショックなどはいずれも20%未満であった。腹痛については症状としては全体の11.9%で認めたが、理学所見で腹部所見陽性患者も含めると40.5%であった。基礎疾患として肝胆道系疾患を21例(43.75%)で認め,うち10例が悪性腫瘍であった.糖尿病や大腸癌患者も4例ずつ認めた。基礎疾患のない症例は12例(28.6%)であった。採血検査値では、白血球上昇を35例(83.8%)で認め,CRPは39例(97.5%)で高値であった.肝胆道系酵素の上昇は、AST 30例(73.1%)、ALT 19例(45.2%)、ALP 25例(64.1%)、T.bil 24例(57.1%)で認められたが、肝胆道系酵素がいずれも正常範囲内であった症例も2例で認めた。血液培養の起因菌ではKlebsiella pneumoniaeの13例(43.3%)が最も多く,次いでbacteroides属(3例)、E.Coii(2例)、fusobacterium属(2例)であった。膿瘍培養の起因菌ではKlebsiella pneumoniaeの5例(25%)が最も多く、次いでEnterococcus属(4例)、Streptococcus属(4例)、bacteroides属(2例)、Enterobacter cloacae(2例)であった。赤痢アメーバが検出された症例は認めなかった。抗菌薬使用期間についてはドレナージ施行群が41.35日、ドレナージ未施行群が36.64日でドレナージ未施行群が短い結果であった。全例が抗菌薬治療と膿瘍ドレナージで救命できた。【結論】当院で経験した肝膿瘍患者は高齢者に多く、基礎疾患を有さない症例も少なくなかった。発熱以外の症状は、腹部症状に乏しい症例も多く、感染源不明の炎症反応高値や肝胆道系酵素の上昇を認める患者では、鑑別にあげる必要があると思われた。
索引用語 肝臓, 感染症