セッション情報 専修医発表(卒後3-5年迄)

タイトル 専05:

異なる病像を呈した肝類上皮血管内皮腫の2例

演者 森田 祐輔(飯塚病院 肝臓内科)
共同演者 本村 健太(飯塚病院 肝臓内科), 小柳 年正(飯塚病院 肝臓内科), 千住 猛士(飯塚病院 肝臓内科), 矢田 雅佳(飯塚病院 肝臓内科), 大屋 正文(飯塚病院 病理科), 増本 陽秀(飯塚病院 肝臓内科)
抄録 【症例1】32歳男性。2010年8月、心身症疑いにて心療内科を受診した際に、腹部超音波検査(US)で肝S8に径1.5 cmのbull's eye像を呈する腫瘤を指摘され当科を紹介された。腹部CTでは造影効果のない低吸収腫瘤で、S2、S6にも径1 cm弱の低吸収腫瘤を認めた。EOB-MRIではT1強調画像低信号であり、S8の主腫瘤はT2強調画像高信号で中心部がさらに強い高信号を呈するtarget signを示した。血液生化学検査所見に異常を認めず、AFP、CEA、CA19-9は正常であった。画像上、腫瘤が増大傾向を示したため、2011年12月US誘導下経皮生検を施行した。病理組織所見では、楕円形または紡錘形の濃染核と好酸性ないし淡明な胞体を有する異型細胞が増生し、免疫染色でCD34およびFactorVIIIが陽性であり、類上皮血管内皮腫(epithelioid hemangioendothelioma, EHE)と診断した。
【症例2】66歳男性。2011年8月、健診の際にUSで多発肝腫瘤を指摘され当科を紹介された。血液生化学検査ではAST 40 IU/l、ALT 56 IU/l、ALP 652 IU/l、γ-GTP 480 IU/lで、CEA、CA19-9は正常であった。USでは低エコー腫瘤が肝両葉に多発し、腫瘤中心部に石灰化を伴っており、最大腫瘤は径3 cmであった。腹部CTでも肝両葉に石灰化を伴う多数の低吸収腫瘤を認め、これらは肝内胆管に沿って分布していた。EOB-MRIでは腫瘤辺縁にリング状の造影効果を認め、T2強調画像は高信号であった。US誘導下経皮生検の結果、硝子様または粘液腫様基質を背景に、大小不同核と好酸性または淡明な胞体を有する類上皮様異型細胞の増生を認めEHEと診断した。免疫染色で明らかな陽性所見はみられなかった。
【考察】肝EHEは比較的稀である。自験2例は血液検査所見、画像所見および病理組織像に相違がみられる点が興味深く、これらの相違点と共通点を対比して文献的考察を加え報告する。
索引用語 肝類上皮血管内皮腫, epithelioid hemangioendothelioma