セッション情報 一般演題

タイトル 026:

エコー下生検にて診断しえた肝硬化性血管腫の一例

演者 山島 美緒(長崎市立市民病院消化器内科)
共同演者 藤富 真吾(長崎市立市民病院消化器内科), 赤星 浩(長崎市立市民病院消化器内科), 池田 幸紀(長崎市立市民病院消化器内科), 福田 康弘(長崎市立市民病院消化器内科), 堤 卓也(長崎市立市民病院消化器内科), 入江 準二(長崎市立市民病院病理診断科), 福田 俊夫(長崎市立市民病院放射線科)
抄録 症例は79歳男性。近医で施行した腹部エコーにて肝に腫瘍性病変を指摘され、精査目的で当院を受診した。当院での血液検査では、腫瘍マーカーはAFP、PIVKA-II、CEA、CA19-9いずれも正常であった。腹部エコーでは、肝左葉外側区域の門脈臍部からP3起始部に接して、その頭側に20mm大の腫瘤を認めた。内部は等エコー、辺縁部は高エコーで、後方エコーは増強していた。腹部CTでは、同部に20mm大の低吸収域を認め、動脈相で辺縁のみ造影され、門脈相、平衡相でも中心部の濃染はみられなかった。腹部MRIでは、T2W1で高信号を呈しており、ガドリニウム造影では動脈相で強いリング状濃染を示し、後期相では中心は染まらないものの、造影範囲が中心部に向かってやや厚くなっていた。
鑑別として血管腫、胆管細胞癌を考えたが、上記画像検査からは鑑別は困難であり、診断確定のため、エコー下肝腫瘍生検を施行した。その結果、疎性結合組織と正常肝組織の間に不規則な血管腔状構造がみられ、肝硬化性血管腫と診断した。
肝硬化性血管腫は、海綿状血管腫が血管内腔の血栓形成、壊死、瘢痕形成、石灰化などにより退行性変化をきたし、腫瘍が繊維化あるいは硝子様変性した病態である。頻度は比較的まれであり、また特徴的な画像所見がないことから、胆管細胞癌や転移性肝癌などとの鑑別が難しく、術前診断がつかないまま、外科的切除が行われた症例が多い。本症例は腫瘍生検にて診断が得られた例であり、文献的考察を加え、報告する。
索引用語 肝硬化性血管腫, 肝腫瘍生検