セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 069:肝門部胆管癌との鑑別に難渋した原発性硬化性胆管炎(PSC)の1例 |
演者 | 鬼塚 良(産業医科大学第3内科) |
共同演者 | 千手 倫夫(産業医科大学第3内科), 松橋 亨(産業医科大学第3内科), 日浦 政明(産業医科大学第3内科), 柴田 道彦(産業医科大学第3内科), 阿部 慎太郎(産業医科大学第3内科), 原田 大(産業医科大学第3内科) |
抄録 | 症例は75歳男性。2012年1月γGTPの上昇を指摘され、精査目的に当科紹介となった。血液検査ではT-bil 1.1 mg/dl、AST 45 IU/l、ALT 36 IU/l、ALP 865 IU/l、γGTP 471 IU/l、AMA <20、MPO-ANCA <10、IgG4 57.4 mg/dl、CA19-9 48.4 U/mlと胆道系酵素の上昇および軽度の腫瘍マーカーの上昇を認めた。ERCPでは上部総胆管のなだらかな狭窄を認め、末梢肝内胆管は右葉を主体にびまん性の狭窄、硬化像や数珠状変化を認めた。狭窄部からの生検、擦過細胞診を施行したが悪性細胞は認めなかった。肝生検では慢性および急性の炎症性変化や胆汁うっ滞を示唆する小葉内胆管の局所的拡張や門脈域の変化を認めるもPSCを積極的に示唆する所見は得られなかった。病理的証明は得られなかったが、血液、画像所見からPSCと診断し、UDCA 600mg/日による治療を開始したところ、肝胆道系酵素は比較的速やかに軽快を示した。しかし治療より1ヶ月後、胆嚢炎を併発し、再度当科に入院した。PTGBDからの造影では胆嚢管は描出されず、ERCPでは胆管のびまん性変化はより強くなっており、再度狭窄部から4ヶ所の生検、擦過細胞診、胆汁細胞診を行ったが悪性の所見は認めなかった。手術を検討したが胆嚢炎発症より更に1ヶ月後肝右葉後区域にSOLが出現し、肝腫瘍生検にてadenocarcinomaを認め、またPET-CT検査で肝門部および肝右葉後区域に集積を認め、肝転移を伴う肝門部胆管癌と診断した。 PSCの胆管像・臨床像を呈し、再三の組織診、細胞診を施行しても悪性像は得られなかったが最終的に胆管癌を認め、鑑別に難渋した症例を経験した。retrospectiveに検討してもPSCの存在の有無は評価が難しく教訓的かつ貴重な症例と考え報告する。 |
索引用語 | 原発性硬化性胆管炎, 胆管癌 |