セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研29:

十二指腸乳頭部を取り巻くように発生した十二指腸腺腫の一切除例

演者 吉満 工平(鹿児島大学 消化器・乳腺甲状腺外科)
共同演者 前村 公成(鹿児島大学 消化器・乳腺甲状腺外科), 又木 雄弘(鹿児島大学 消化器・乳腺甲状腺外科), 川崎 洋太(鹿児島大学 消化器・乳腺甲状腺外科), 上野 真一(鹿児島大学 消化器・乳腺甲状腺外科), 迫田 雅彦(鹿児島大学 消化器・乳腺甲状腺外科), 飯野 聡(鹿児島大学 消化器・乳腺甲状腺外科), 新地 洋之(鹿児島大学 保健学科), 高尾 尊身(鹿児島大学 フロンティアサイエンス研究推進センター), 夏越 祥次(鹿児島大学 消化器・乳腺甲状腺外科)
抄録 十二指腸乳頭部周囲に発生した十二指腸腺腫に対し、幽門輪温存膵頭十二指腸切除(PPPD)を施行した一例を経験したので報告する。症例は59歳男性、主訴は特になし。現病歴:2年前の健康診断での上部消化管内視鏡検査(EGD)にて十二指腸腺腫指摘、生検結果はadenoma。1年前、再度EGDにて十二指腸腺腫指摘,生検結果はadenoma。本年も同様の所見認め、精査目的に当科紹介受診。EGDにて十二指腸乳頭部を中心に、半周性に白色の絨毛状の腫瘍を認める。乳頭の形態はほぼ保たれ、内視鏡診断は十二指腸絨毛腺腫であった。同部位の生検にて、中等度N/C比の増加した腸型腺管の増生を認め、核は桿状で、核極性は良く保持されており、腺腫の診断であった。十二指腸透視において、十二指腸下行脚膵頭側に長径30mm長、ほぼ半周性の丈の低い乳頭状-顆粒状隆起性病変指摘。CTやMRでの腫瘍指摘は不能であり、主膵管、総胆管の拡張像は認めなかった。FDG-PETにて、同部位への異常集積像は認めなかった。本症例の治療方針として、広範囲の管状腺腫であり一部癌化している可能性もあり。乳頭を含んでおり、内視鏡的な完全切除は不能。縮小手術(膵温存十二指腸切除術等)が望まれるが、術後合併症率は非常に高く、術後の安全性を重視しPPPDを選択した。センチネルリンパ節同定目的に前日にICGを内視鏡的に腫瘍周囲に注入。術中、17aと13a領域にセンチネルリンパ節を同定し、17aリンパ節をサンプリング。転移陰性を確認した。現在最終病理未着である。十二指腸腺腫に関して、頻度(内視鏡検査時)は腺腫0.04%、原発性十二指腸癌(乳頭部癌除く)0.01%。本邦では1.Brunner腺腫 2.腺腫、腺管腺腫71%、腺管絨毛腺腫21%、絨毛腺腫0%。欧米ではほとんどが絨毛腺腫。癌化率は腺管絨毛腺腫40%、腺管腺腫33%、絨毛腺腫16.7%で、好発部位は球部、下行部。早期癌のほとんどは腺腫を併存している。まとめ:十二指腸乳頭部周囲に発生した十二指腸腺腫に対し、PPPDにより安全かつ確実に切除を行いえた。若干の文献的考察を交え報告する。
索引用語 十二指腸腺腫, PPPD