セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研35:

mFOLFOX6+パニツムマブ併用療法により,切除可能となった直腸癌肝転移の1例

演者 齊藤 由希子(社会医療法人仁愛会 浦添総合病院 消化器病センター内科)
共同演者 星野 訓一(社会医療法人仁愛会 浦添総合病院 消化器病センター内科), 近藤 章之(社会医療法人仁愛会 浦添総合病院 消化器病センター内科), 屋嘉比 聖一(社会医療法人仁愛会 浦添総合病院 消化器病センター内科), 松川 しのぶ(社会医療法人仁愛会 浦添総合病院 消化器病センター内科), 藪谷 亨(社会医療法人仁愛会 浦添総合病院 消化器病センター内科), 末吉 宰(社会医療法人仁愛会 浦添総合病院 消化器病センター内科), 仲村 将泉(社会医療法人仁愛会 浦添総合病院 消化器病センター内科), 小橋川 嘉泉(社会医療法人仁愛会 浦添総合病院 消化器病センター内科), 内間 庸文(社会医療法人仁愛会 浦添総合病院 消化器病センター内科), 伊佐 勉(消化器病センター外科), 伊志嶺 朝成(消化器病センター外科), 亀山 眞一郎(消化器病センター外科), 松村 敏信(消化器病センター外科), 長友 俊郎(消化器病センター外科), 金城 章吾(消化器病センター外科), 長嶺 義哲(消化器病センター外科), 古波倉 史子(消化器病センター外科)
抄録 【症例】48歳,男性.【主訴】肛門痛,血便.【既往歴】右鼠径ヘルニア手術,急性虫垂炎手術,高尿酸血症.【現病歴】約1年前から排便後に出血,肛門痛を認めていたが,放置していた.2011年12月上旬より夜間に肛門痛があり.2012年1月初旬に近医受診し下部消化管内視鏡検査を施行.下部直腸に腫瘍を認め生検にて腺癌であった.直腸癌の診断で精査・加療目的に当科紹介となった.【経過】腹部CTでは,肝内側区域,前区域中心に12cmの肝転移巣を認め,腫瘍はumbilical portion,後区域へ浸潤した.肝転移巣は切除困難と判断し,化学療法を行うこととした.KRAS-WTであり,レジメンはmFOLFOX6とパニツムマブ併用療法を行うこととした.1コース終了後にG2の皮膚毒性を認めた.3コース終了後の腹部CTでは,肝転移巣は縮小傾向にあり.切除可能と判断した.2コースを追加し,計5コース終了後に肝切除のための評価を行ったところ,残肝が小さく,術後の肝不全も懸念されたため,門脈左枝と前区域枝に対して,経皮経肝門脈塞栓術を施行した.直腸癌も同時切除を考慮したが,残肝が小さく,術後出血による肝不全を危惧し,2期的に手術を行うこととした.予後を規定するのは肝転移巣と判断し,拡大肝左葉切除術を先行させた.その後2コース化学療法を追加し,肝切除後より2カ月目に腹会陰式直腸切断術を行った.周術期の合併症はなく,軽快退院となった.切除後は6コースのmFOLFOX6を投与し,現在も再発なく経過している.【考察】切除不能な肝転移巣に対して,化学療法にて切除可能となる症例が増えている.化学療法による奏効率と肝転移切除率は相関があり,奏効率の高いレジメンを選択することが推奨される.PRIME試験におけるmFOLFOX6とパニツムマブ併用療法での奏効率は55%で,現時点では奏効率の最も高いレジメンと評価し,当院では肝転移に対してConversion目的に積極的に使用している.
索引用語 大腸癌, パニツムマブ