セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 116:リンパ管シンチグラフィにて診断し得た食道癌術後難治性乳糜胸の一例 |
演者 | 津田 康雄(九州大学大学院 消化器総合外科) |
共同演者 | 安藤 幸滋(九州大学大学院 消化器総合外科), 木村 和恵(九州大学大学院 消化器総合外科), 井田 智(九州大学大学院 消化器総合外科), 佐伯 浩司(九州大学大学院 消化器総合外科), 沖 英次(九州大学大学院 消化器総合外科), 大賀 丈史(九州大学大学院 消化器総合外科), 楠本 哲也(九州大学大学院 消化器総合外科), 森田 勝(九州大学大学院 消化器総合外科), 阿部 光一郎(九州大学病院 放射線科), 馬場 眞吾(九州大学病院 放射線科), 磯田 拓郎(九州大学病院 放射線科), 前原 喜彦(九州大学大学院 消化器総合外科) |
抄録 | 症例は72歳男性。3か月前に嚥下時違和感を主訴に、上部消化管内視鏡で胸部中部食道に全周性2型腫瘍を指摘され、生検で食道扁平上皮癌と診断された。術前放射線化学療法(放射線療法:Total 41.4Gy/化学療法:FP療法(CDDP[70mg/m2]/5-FU[700mg/m2]))を施行した。CRT後の評価で腫瘍は縮小認めたが、高度狭窄を来しており、CRT終了より3週間後に腹腔鏡補助下食道亜全摘術、再建術(胃管再建、胸骨後経路)、腸瘻造設術を施行した。術後5日目左右計800ml-1000ml/日程度の胸水を認め、経管栄養開始とともに胸水混濁を認めたことから、乳糜胸が疑われた。術後18日目よりサンドスタチンの投与を開始し、胸水量は軽減傾向を認めたが、600-800ml/日程度の乳糜胸水が続いた。術後21日目にリンパ管損傷部位を特定するためリンパ管シンチグラフィを行ったところ、第4胸椎レベルで気管背側に高集積を認め、同部位の胸管損傷による乳糜胸と考えられた。同部位に対して術後23日目に開胸下に胸管結紮術を施行した。初回手術の影響から肺と胸壁の癒着が高度であった為、癒着剥離は最小限に抑え、最短経路で漏出部位に到達することを心掛けた。胸管結紮術後に、再度リンパ管シンチグラフィを行ったところ、縦隔内にRIの集積を認めず、胸水中への明らかなRIの移行も認めなかった。食道癌術後乳糜胸の原因としては手術操作による胸管損傷がほとんどのため、最も確実な方法としては胸管結紮で文献的にも成功率が高い。今回我々は、食道癌術後の難治性乳糜胸水の一例を経験した。術中に明らかな胸管損傷は同定できなかったが、リンパ管シンチグラフィを用いて漏出部位を同定することで、開胸時の癒着剥離を最小限に抑え、より確実に最短経路で胸管結紮術を低侵襲で施行することができた。胸部手術後の乳糜胸で漏出部位の同定困難な場合には、リンパ管シンチグラフィによる損傷部位の特定及び、早期の結紮術が推奨される。 |
索引用語 | リンパ管シンチグラフィ, 乳糜胸 |