セッション情報 | 研修医発表(卒後2年迄) |
---|---|
タイトル | 研48:胃癌・膵癌術後経過観察中に発症した胆管癌 (異時性三重複癌) の一切除例 |
演者 | 酒井 克也(宮崎大学 腫瘍機能制御外科学) |
共同演者 | 大内田 次郎(宮崎大学 腫瘍機能制御外科学), 木梨 孝則(宮崎大学 腫瘍機能制御外科学), 矢野 公一(宮崎大学 腫瘍機能制御外科学), 今村 直哉(宮崎大学 腫瘍機能制御外科学), 永野 元章(宮崎大学 腫瘍機能制御外科学), 旭吉 雅秀(宮崎大学 腫瘍機能制御外科学), 春山 幸洋(宮崎大学 腫瘍機能制御外科学DELIMITER宮崎大学 腫瘍・再生病態学), 片岡 寛章(宮崎大学 腫瘍・再生病態学), 千々岩 一男(宮崎大学 腫瘍機能制御外科学) |
抄録 | 症例は73歳男性,63歳時より糖尿病治療中であった.2010年1月より血糖コントロールが増悪し,精査目的に入院となった. CTで膵頭体移行部に1.8cm大,境界不明瞭,尾側膵管拡張を伴う低吸収性病変を認め,膵癌が疑われた.また,上部消化管内視鏡検査で胃体上部後壁に1.5cm大の陥凹性病変を認め,内視鏡的粘膜下層剥離術を施行したが,切除標本で深達度がSM2であったため,外科的切除を行う方針とした。膵体部癌,早期胃癌の診断で,2010年9月に膵体尾部切除術,脾臓合併切除術,幽門側胃切除術を施行した.また,術中に腫瘍背側の脾静脈合流部分の門脈に1.5cm長の強固な癒着を認め,膵癌の門脈浸潤と判断し門脈合併切除術を併施した.消化管の再建はRoux-en Y法で行った.最終病理の結果,膵癌に関しては前後方組織浸潤を認めるものの門脈浸潤,リンパ節転移はなくStage III,胃癌に関しては残存病変,リンパ節転移なくStage IAであった.術後膵液瘻を認めたが保存的に軽快し,術後44日目に退院となった.膵癌に対して,2011年1月よりGemcitabine+S-1療法による補助化学療法を6ヶ月間施行し,再発なく経過観察中であったが,2012年4月に肝機能障害が出現し,CTで下部胆管に3.5cm長の全周性の狭窄と肝側胆管の拡張を認めた.黄疸に対して経皮経肝胆道ドレナージ を施行し,胆汁細胞診で癌細胞を認めたため,胆管癌の診断で,残膵全摘術,胆道再建術を施行した.最終病理診断は膵浸潤,肝十二指腸間膜内リンパ節転移を伴いStageIVaの中下部胆管癌であった.術後腹腔内膿瘍を認めたが,経皮的ドレナージで軽快し,術後39日目に退院した.今回,同時性に発生した胃癌および膵癌に対する手術後に異時性に胆管癌を発症し,根治切除しえた症例を経験した.三重複癌の報告例は少なく,文献的考察を加えて報告する. |
索引用語 | 三重複癌, 残膵全摘 |