セッション情報 一般演題

タイトル 039:

非典型的画像所見を呈し術前診断に苦慮した膵神経内分泌腫瘍の一切除例

演者 宜保 淳也(飯塚病院 消化器内科)
共同演者 本村 健太(飯塚病院 肝臓内科), 梶山 潔(飯塚病院 外科), 熊谷 玲子(飯塚病院 病理科), 大塚 宜寛(飯塚病院 消化器内科), 蓑田 洋介(飯塚病院 消化器内科), 濱田 匠平(飯塚病院 消化器内科), 福田 慎一郎(飯塚病院 消化器内科), 金山 兼司(飯塚病院 消化器内科), 久保川 賢(飯塚病院 消化器内科), 本村 廉明(飯塚病院 消化器内科), 赤星 和也(飯塚病院 消化器内科)
抄録 症例は55歳男性。慢性糸球体腎炎による腎不全のため24歳時より維持透析中であった。また以前よりC型肝炎を指摘されており、当院肝臓内科にて定期的に腹部超音波検査を施行されていた。平成23年10月の検査で肝S6にSOLを指摘され、再検にて増大傾向あり12月1日に腹部造影CTを施行された。肝の形態は肝硬変パターンであり、肝S6に1.5cm大の多血性腫瘤あり肝細胞癌が疑われた。同時に膵頭部に4cm大の境界不明瞭な低吸収腫瘤あり、中心部に粗大石灰化を伴っていた。また膵頭部背側に27mm大および14mm大の2個の隣接する境界明瞭な類円形腫瘤あり、内部に液面形成を認め嚢胞性病変が疑われた。消化管内視鏡検査にて十二指腸下行脚への腫瘍浸潤が疑われ内腔の狭小化を伴っていたが、生検は陰性であった。FDG-PETでは膵頭部腫瘍に一致しSUVmax 8.3の高集積を認め、前述の嚢胞性腫瘤にもSUVmax 3.5の異常集積あり、また上膵頭後部リンパ節と思われる部位にもSUVmax 6.1の高集積を認めた。肝S6の腫瘤には異常集積を認めず、肝腫瘍生検にて高分化型肝細胞癌と診断された。膵頭部腫瘍の画像所見は非特異的であり、診断確定のため12月19日にEUS-FNAを施行した。腫瘍は大小不同の類円形濃染核と好酸性胞体を含む異型細胞のシート状胞巣を認め、免疫染色にてAE1/AE3(+)、CAM5.2(+)、EMA(+)、chromogranin A(-)、synaptophysin(+)、CD56(-)、LCA(-)、CD79a(-)、UCHL1(-)、MIB-1(2~3%)であり神経内分泌腫瘍と診断された。膵背側の嚢胞性病変が転移であるのか全く別の後腹膜腫瘍であるのか明らかではなかった。術前2月9日にS6の肝細胞癌に対し経皮的ラジオ波焼灼術を施行し、3月22日に亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した。術中所見で腫瘍が横行結腸間膜に浸潤しており、横行結腸を含め一部切除した。術後の病理診断は神経内分泌腫瘍であり、MIB-1 5~10%でありNET G2と考えられた。膵背側の嚢胞性病変はリンパ節転移であり、一部後腹膜に播種が陽性であった。本症例は膵神経内分泌腫瘍の画像診断において示唆を含む症例と思われ、若干の考察を含め報告する。
索引用語 神経内分泌腫瘍, PET