| 抄録 |
【はじめに】膵癌のリスク因子に肥満や糖尿病が報告されているが、生活習慣関連疾患と膵癌切除後の経過における関連についての報告が少ない。【対象・方法】1983年4月から2011年3月の間に外科切除を試みた膵癌99例について膵癌取扱い規約（第6版）に則り臨床病理学的因子を評価するとともに、術前の生活習慣関連疾患（高血圧・糖尿病・高脂血症）の治療の有無による無再発生存期間の比較検討をLog-rank testを用いて行った。【結果】99例の背景は、平均年齢66.8±10.4歳、男女比はほぼ等しかった（52：47例）。腫瘍の部位は頭部／体部／尾部／2区域以上が66／22／9／2例であり、組織型は管状腺癌／腺扁平上皮癌／IPMN由来浸潤癌／その他が89／3／3／4例であった。一方、術前にそれぞれ高血圧39例・糖尿病32例（食事・運動療法のみ 7例、内服療法 16例、自己インスリン療法 9例）・高脂血症 11例・重複例 54例が生活習慣関連疾患として加療されていた。高血圧・糖尿病・高脂血症・重複例の有無で無再発生存期間を比較し差を見出せず（p=0.236, 0.992, 0.051, 0.733）、R0症例に限定して比較しても同様であった（p=0.102, 0.563, 0.067, 0.676）。TNM因子およびStage別に検討しても、これら生活習慣関連疾患による有意な差は見出せなかった。【結語】生活習慣関連疾患の有無と膵癌切除後の経過における関連を見出せなかった。 |
