セッション情報 |
シンポジウム「消化器疾患における新規治療法」
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タイトル |
015:PEG-IFNα2b+Ribavirin+Telaprevir 3剤併用療法による重症貧血の検討
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演者 |
山崎 晃裕(製鉄記念八幡病院) |
共同演者 |
大穂 有恒(製鉄記念八幡病院), 山下 尚毅(製鉄記念八幡病院), 梶原 英二(製鉄記念八幡病院) |
抄録 |
【目的】PEG-IFNα2b+Ribavirin+Telaprevir(TVR) 3剤併用療法による貧血は従来の2剤併用療法に比べより重篤であると報告され、治療中止理由の最も多い副作用である。当院でも輸血を要する重篤な貧血例を4例経験した。今回当院で3剤併用療法を導入した症例において重症貧血に関わる因子を検討した。【方法】対象は2011年12月~2012年6月に当院で3剤併用療法を導入し12週以上経過した43症例(男性22例(51%)、年齢中央値60歳(25-74歳))で、Hb最低値が8.5g/dl以上であった非重症貧血群27例と8.5g/dl未満に低下した重症貧血群16例の2群に分け比較検討した。【結果】非重症貧血群27例の内訳は年齢中央値60歳(25-74)、男性15例(56%)、体重 66.3kg(44-82.4)、BMI 24.2kg/m2(20.0-28.5)、IL28B TT 24例(89%)、ITPA CC 22例(81.4%)、治療開始時Hb 14.2g/dl(12.1-16.7)、Plt 15.8万/μl(9.5-26.8)、Cr 0.7mg/dl(0.4-0.9)、TVR開始量1500/2250mg:16/11(59%/41%)であった。重症貧血群16例の内訳は年齢中央値64歳(51-70)、男7例(44%)、体重 59.6kg(40.8-71.6)、BMI 23.7 kg/m2(17.2-27.1)、IL28B TT 15例(89%)、ITPA CC 10例(63%)、治療開始時Hb 12.9g/dl(10.9-16.3)、Plt 15.2万/μl(7.8-23.7)、Cr 0.65mg/dl(0.5-1.0)、TVR開始量 1500/2250mg:9/7(56%/44%)であった。治療開始時の背景因子のうちHb値のみ両群間で有意差が認められた(p<0.02)。ITPAで有意差はみられなかった。治療開始後の因子ではPEG-IFNおよびRBV投与量が重症貧血群で有意に少なかったが(p<0.02およびp<0.001)、皮疹発現率、Cr最高値、UA最高値などに差を認めなかった。重症貧血群のうち4例でHb 6.9g/dl以下となり輸血を要した。全例開始7-11週目にHbが1週間で1.0 g/dl以上低下した。 3例の治療開始前Hbは14g/dl以上であったが、重症貧血時の網状赤血球数は著明に減少しTVR中止2-3週後に回復した。【考察】TVR3剤併用療法による重症貧血の背景因子として開始前Hb値のみ有意差を認めた。一方、重症貧血の原因としてTVRによる骨髄抑制が一因である症例が存在する。 |
索引用語 |
テラプレビル, 貧血 |