セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | 057:進行・再発胃癌の化学療法における薬剤選択の検討 |
演者 | 楠本 哲也(九州大学 外科分子治療学/消化器・総合外科) |
共同演者 | 安藤 幸滋(九州大学 外科分子治療学/消化器・総合外科), 井田 智(九州大学 外科分子治療学/消化器・総合外科), 木村 和恵(九州大学 外科分子治療学/消化器・総合外科), 佐伯 浩司(九州大学 外科分子治療学/消化器・総合外科), 沖 英次(九州大学 外科分子治療学/消化器・総合外科), 森田 勝(九州大学 外科分子治療学/消化器・総合外科), 前原 喜彦(九州大学 外科分子治療学/消化器・総合外科) |
抄録 | 【背景と目的】現在、大規模臨床第III相試験の結果、一次治療ではS-1+CDDP療法、二次治療ではweekly paclitaxel療法が進行・再発胃癌に対する標準治療または比較試験の対照群とされている。実地臨床においてはこれらのkey drugs以外にも、一次治療としてS-1 monotherapy、S-1+docetaxel、二次治療としてirinotecanを含むレジメンが多く選択されており、これらの薬剤選択の妥当性をretrospectiveに検証した。【対象と方法】進行・再発胃癌の診断で化学療法が導入された102例を対象とした。そのうち一次治療でS-1を含む化学療法が選択された89例、さらに二次治療が施行された32例を対象としてその奏効率、無増悪生存期間(PFS)/疾患制御期間(DDC)、全生存期間(OS)を検討した。【結果】進行・再発胃癌102症例の平均生存期間(MST)は472日、一次治療の奏効率はS-1 monotherapy6.7%に対してS-1+CDDP、S-1+docetaxelが約30%であった。一次治療における各レジメンのPFSはS-1/S-1+CDDP/S-1+docetaxel 121/199/178日であった。MSTは各々832/293/669日であった。一方、二次治療の奏効率は irinotecan base/taxane baseで20%前後と差はなく、MSTも330/385日と差はなかったが、PFSでirinotecan baseの方が長い傾向があった。導入したkey drugsが多いほどMSTは延長しており、疾患制御期間(DDC)はS-1+CDDP→taxane、S-1+docetaxel→irinotecanの組合せで約380日と良好であった。【考察】進行・再発胃癌に対する一次治療の標準レジメンはS-1 monotherapyまたはS-1+CDDPとされているが、S-1+docetaxelも候補として妥当と考えられた。二次治療の薬剤は、irinotecanとpaclitaxelでOSに差はなかったことから、標的部位、組織型、一次治療の使用薬剤あるいは有害事象プロフィールなどを考慮して選択すべきである。その際、三次治療への移行を考慮した選択が望ましい。 |
索引用語 | 胃癌, 化学療法 |