セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研13:

ペグインターフェロン、リバビリン、テラプレビル3剤併用療法中に、急性胆嚢炎、虫垂炎を合併したC型慢性肝炎の1例

演者 渡邊 高徳(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 肝臓科)
共同演者 小田 桂子(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 肝臓科), 中嶋 遥美(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 肝臓科), 上野 新子(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 肝臓科), 具嶋 敏文(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 肝臓科), 松本 耕太郎(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 外科), 高橋 和弘(国家公務員共済組合連合会 浜の町病院 肝臓科)
抄録 【症例】 60歳台女性。C型慢性肝炎(F1/A1、genotype1b, RNA量6.6 logIU/ml、IL28B rs8099917 TT)に対して2012年2月より、ペグインターフェロン、リバビリン、テラプレビル(1500mg)3剤併用療法を開始した。HCV RNAは4週目に陰性化し経過は良好であった。
 治療開始7週目に右上腹部痛出現と発熱出現、WBC 7000/μl、CPP 4.9 mg/dlと炎症反応を認めた。造影CTを施行したところ胆嚢は緊満し壁肥厚を認め、急性胆嚢炎の所見であった。胆嚢、総胆管に結石は認めなかった。無石胆嚢炎と診断し、3剤併用療法を中断するとともに、腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した。摘出胆嚢内に胆泥を認めるものの結石は認めなかった。術後の経過は良好であったため、9週目より3剤併用療法を再開した。貧血は認めるものの、全身倦怠感は軽度で、皮膚症状、消化器症状は認めず、腎機能も正常で、治療経過は順調であった。
 治療開始22週目より39℃台の発熱が持続するようになったが、発熱以外に自覚症状に乏しく、腹部に自発痛や圧痛を認めなかった。WBC 6300/μl、CPP 1.1 mg/dlと軽度の炎症反応を認めた。ペグインターフェロン、リバビリンを中止し、抗菌剤投与したが反応せず、各種培養検査も陰性であった。造影CTを施行したところ、回盲部に連続する境界不鮮明で不均一な造影効果を示す不整型腫瘤を認め、虫垂と部分的に連続していることより、膿瘍を伴う虫垂炎と診断した。腹腔鏡下虫垂切除術を施行したところ、虫垂は軽度腫脹しており結腸間膜内に膿瘍を形成していた。術後経過は良好であったが24週が経過していたためペグインターフェロン、リバビリンは再開しなかった。治療終了後4週目のHCV RNAは陰性であった。
【結論】 ペグインターフェロン、リバビリン、テラプレビル3剤併用療法は2剤併用療法に比べて治療効果は強力であるものの、貧血、皮膚症状、消化器症状、腎機能障害等の副作用が強いことが問題点となっている。本症例のように感染症を繰り返す症例もあり、治療中の感染症対策も重要な課題であると考えられた。
索引用語 インターフェロン療法, 感染症