セッション情報 |
一般演題
|
タイトル |
020:肝細胞癌における複数の腫瘍マーカー同時測定の意義~各腫瘍マーカーの組み合わせによる予後予測の有用性について
|
演者 |
長谷川 将(霧島市立医師会医療センター肝臓内科) |
共同演者 |
橋口 正史(霧島市立医師会医療センター肝臓内科), 山崎 成博(霧島市立医師会医療センター肝臓内科), 二渡 久智(霧島市立医師会医療センター外科), 風呂井 彰(霧島市立医師会医療センター外科), 藤崎 邦夫(霧島市立医師会医療センター肝臓内科) |
抄録 |
【目的】肝細胞癌(HCC)に関するスクリーニングや治療効果判定に、複数の腫瘍マーカーを同時測定することで診断能は向上する。同時に治療効果判定や治療後予後予測にも有用とした報告が見られるものの、治療前予後予測に関する報告は散見されるに過ぎない。今回AFP-L3(以下L3)およびAFP、PIVKAIIによる組み合わせ各群と予後との関連性を検討した。【方法】症例は2011年12月までに初回治療を施行したHCC300例を対象に、L3値10%、AFP値20ng/ml、PIVKAII値40mAU/mlをcut-off値とし正常群と高値群に分類し、各腫瘍マーカーでの二群間の生存率比較と、二種類の腫瘍マーカーの組み合わせで生じる四群間の生存率比較および予後因子解析を施行した。【成績】各腫瘍マーカー測定例数はAFP 300例(うち高値例156例)、PIVKAII 299例(174例)、L3 267例(85例)で、各腫瘍マーカーでの二群間の生存率比較ではいずれも正常群が有意に良好も、ハザード比はL3が最も高く2.467であった。二種類の腫瘍マーカーの組み合わせでの四群の内訳は、AFP-PIVKAII組(以下AP組)でAFP正常-PIVKAII正常(以下正正)群72例・AFP正常-PIVKAII高値(以下正高)群72例・AFP高値-PIVKAII正常(以下高正)群53例・AFP高値・PIVKAII高値(以下高高)群102例、L3-PIVKAII組(以下LP組)で同様に正正群86例・正高群94例・高正群22例・高高群63例、AFP-L3組(以下AL組)で同様に正正群117例・正高群7例・高正群65例・高高群78例で、いずれの組全体での生存率に有意差を認めるものの、LP組は群層別化能が優っていた。LP組各群における予後因子解析では、多変量解析上腫瘍側因子は正高群より1項目抽出されたのみで、特にL3が高値の高正・高高群のいずれも腫瘍側因子、治療側因子からの抽出はなかった。【結論】L3は腫瘍マーカー単独では予後に関する危険度を最も反映する測定法である。L3とPIVKAIIの組み合わせ測定は他組と比較し群層別化能に優れ、同時に腫瘍悪性度や治療法に強い相関はなく、独立した治療前予後予測法として有用と思われた。 |
索引用語 |
肝細胞癌, 腫瘍マーカー |