セッション情報 一般演題

タイトル 095:

抗ミトコンドリアM2抗体が陽性だった自己免疫性肝炎の一例

演者 野間 栄次郎(福岡大学筑紫病院)
共同演者 植木 敏晴(福岡大学筑紫病院), 光安 智子(福岡大学筑紫病院), 大塚 雄一郎(福岡大学筑紫病院), 簑田 竜平(福岡大学筑紫病院), 丸尾 達(福岡大学筑紫病院), 松村 圭一郎(福岡大学筑紫病院), 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院)
抄録 [症例]51歳女性、生来健康で検診など受けたことがなく、肝障害の既往もなかった。2012年2月10日知人から黄疸を指摘され近医受診、肝胆道系酵素の上昇を認め2月16日当科紹介入院となった。機会飲酒で海外渡航歴や輸血歴はなく、家族歴、既往歴に特記事項はなかった。現症は身長148.2cm 体重56.7kg 眼球結膜に黄染を認めた。腹部は軟で圧痛なく、肝脾触知しなった。皮疹も認めなかった。WBC3100 好酸球1.9% Hb13.3g/dL PLT17.3万 Alb3.7g/dL T.bil21.6g/dL D.bil13.3g/dL AST1360IU/L ALT1274IU/L chE242U/L ALP761U/L γGT116U/L CRP0.5mg/dL IgG1563mg/dL IgM196mg/dL 抗核抗体40倍 抗ミトコンドリア抗体80倍 抗ミトコンドリアM2抗体146倍 ウイルスマーカーはすべて陰性だった。第13病日に肝生検施行した。中心帯領域の肝細胞の脱落とロゼット形成を認め、形質細胞を含む多彩な炎症細胞浸潤も認めた。胆管の障害は認めなかった。治療前のAIH国際診断基準スコアリングは12点でprobable AIHであった。臨床経過と組織像からAIHと診断し、第15病日からプレドニゾロン40mg開始した。ALTは開始後10日で速やかに正常値まで改善した。治療後第49病日に再度肝生検施行した。治療後の組織像も胆管の障害はなく、壊死炎症細胞浸潤は著明に改善していた。自己抗体はPBCを疑わせたが、臨床経過と組織像からはAIHと診断されステロイドが著効した比較的稀な一例を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 抗ミトコンドリアM2抗体, 自己免疫性肝炎