セッション情報 一般演題

タイトル 093:

胆管嚢胞腺腫の1例

演者 中山 剛一(久留米大学医学部外科)
共同演者 堀内 彦之(久留米大学医学部外科), 赤司 昌謙(久留米大学医学部外科), 川嶋 裕資(久留米大学医学部外科), 川原 隆一(久留米大学医学部外科), 石川 博人(久留米大学医学部外科), 久下 亨(久留米大学医学部外科), 木下 壽文(久留米大学医学部外科), 白水 和雄(久留米大学医学部外科), 竹中 美貴(久留米大学医学部外科DELIMITER久留米大学医学部病理), 中島 収(久留米大学医学部病理)
抄録 肝臓の嚢胞性腫瘍は、膵臓の嚢胞性腫瘍であるIPMNやMCNとの類似性が報告され、その中でも胆管嚢胞腺腫は肝嚢胞性疾患の約5%程度と比較的まれで、その疾患概念は未だ確立されていない。今回我々は、胆管嚢胞腺腫の1例を経験したので報告する。症例は60歳台女性、平成24年4月に検診で肝腫瘍を指摘された。腹部エコーで肝S4に47.2×32.6mm大の高吸収域を認め、内部は、一部嚢胞様の低吸収域が認められた。腹部CTおよびMRIのDynamic studyでは動脈相で辺縁に造影効果を認め、内部は造影効果に乏しい不均一な吸収値を示した。門脈相から平衡相で内部は淡く徐々に造影された。明らかな嚢胞性病変は指摘できなかった。またERCPでは肝内胆管の右前後区域枝には圧排による狭小化を認めたが、明らかな狭窄、途絶や拡張は認めず、腫瘍と胆管との交通は認めなかった。血液生化学検査ではT-Bil値 1.79と軽度上昇を認めたが肝胆道系酵素には異常値を認めなかった。また腫瘍マーカーは正常範囲内であった。以上より非典型的な肝細胞癌や混合型肝細胞癌を疑い、肝左葉切除術を施行した。摘出病変の肉眼所見は黒色調で境界明瞭な腫瘤であった。病理組織学所見は粘液様の間質を背景に小嚢胞が集簇し、裏打ちする上皮は1層の立方上皮からなり淡明な胞体を有することより胆管嚢胞腺腫と診断された。同切片では卵巣様間質を認めなかった。術後経過は良好であり、現在外来観察中である。今回我々は、胆管嚢胞腺腫の切除例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する。
索引用語 胆管嚢胞腺腫, 嚢胞性腫瘍