セッション情報 一般演題

タイトル 018:

肝動脈塞栓術後に合併したbilomaに対し経乳頭的に内瘻化し得た肝細胞癌の1例

演者 赤星 浩(長崎市立市民病院内科)
共同演者 藤富 真吾(長崎市立市民病院内科), 山島 美緒(長崎市立市民病院内科), 池田 幸紀(長崎市立市民病院内科), 福田 康弘(長崎市立市民病院内科), 堤 卓也(長崎市立市民病院内科)
抄録 【症例】71歳、男性。2009年7月に肝右葉の10cmの肝細胞癌に対しシスプラチン、リピオドールおよびジェルパートを用いた肝動脈化学塞栓術(以下TACE)を施行した。以後多発性の再発に対し、TACEを反復していた。2012年4月17日に第7回目のTACEを施行後に発熱と心窩部痛が持続した。4月22日のCTにて肝外側域に不整形の低吸収域がみられ、内部にリピオドールとガス像を含んでいた。感染を合併したbilomaを疑い抗生剤による保存的治療を行ったが増大し、肝外側域腹側被膜下に膨隆する9cm大の嚢胞を形成した。形態的に経皮経肝的な穿刺ルートの確保が困難と考えられた。5月11日に内視鏡的胆管造影を行い、B2経由で多房性bilomaのS2部分に6FrのENBDチューブを留置したところ、感染胆汁の排出を認めた。これによりS2部分のみならず、より大きいS3部分も経時的に縮小した。5月25日に7Fr7cmのプラスティックステントに交換し、bilomaから総胆管への内瘻化を行った。その後もbilomaの増大は認めず多発肝細胞癌に対する治療を継続している。【考察】TACE後の合併症の中でBilomaは比較的頻度は少ないものの、しばしば難治性となり治療に難渋することも少なくない。保存的治療で改善が見られない場合経皮経肝的ドレナージや可能な場合は肝切除が考慮されるが本症例はその形態および残存腫瘍の状況から何れもリスクが高いと考えられた。経乳頭的ドレナージを試み、良好な効果を得たため文献的考察も併せて報告する。
索引用語 biloma, 内視鏡的胆道ドレナージ