セッション情報 パネルディスカッション18(消化器内視鏡学会・消化器病学会・消化器外科学会合同)

小腸疾患に対する診断治療の現況と今後の展望

タイトル 消PD18-16:

原発性小腸癌の診断治療におけるダブルバルーン内視鏡の有用性―阪大小腸Study Groupにおける多施設(OGF)共同研究―

演者 平尾 元宏(大阪労災病院・消化器内科)
共同演者 尾下 正秀(大阪警察病院・消化器内科), 竹原 徹郎(大阪大大学院・消化器内科学)
抄録 【目的】原発性小腸癌は比較的稀な疾患であり、従来はその解剖学的特徴より診断に苦慮することが多かった。近年、カプセル内視鏡およびシングル/ダブルバルーン内視鏡(DBE)など小腸内視鏡の登場により、術前に診断可能な小腸腫瘍性病変が増加し、その実態も明らかになりつつある。我々は、原発性小腸癌の診断治療におけるDBEの有用性、さらには他のモダリティとの位置付けについても検討した。【方法】対象は、大阪大学とその関連病院から構成された阪大小腸Study Group(OGF)にて2004年4月から2011年11月までにDBEを施行した2352件の内、原発性小腸癌30例である。【成績】全体で小腸腫瘍性病変は82例認め、悪性腫瘍/良性腫瘍は各々66例(79%)/16例(21%)であった。悪性腫瘍の内訳は原発性小腸癌が最も多く30例、次いで悪性リンパ腫13例、転移性癌10例、GIST10例などであった。原発性小腸癌30例の検査契機はOGIBが15例(50%)と最も多く、他検査(CTなど)にて指摘6例、狭窄症状5例、腹痛・腹部腫瘤触知3例、体重減少1例であった。病変部位は空腸が最も多く18例(60.0%)、次いで十二指腸7例、回腸5例であった。他検査での病変同定率は、造影CT21/29例(72.4%)、経口小腸造影8/11例(72.7%)であり、結果的にはCT・経口小腸造影では同定し得ずDBEにて初めて同定し得る症例も存在した。DBEによる生検は27例で施行され、26/30例(87%)で術前病理診断が可能であった。治療法として外科手術11例(36.7%)、化学療法2例(6.6%)、手術+化学療法8例(26.7%)、経過観察4例、不明5例が選択された。【結論】DBEは原発性小腸癌の術前病理診断確定、ひいては治療法の選択・治療効果判定にも有用である。原発性小腸癌診断のアルゴリズムとして、CT・経口小腸造影にて病変(部位)を確認した上で最終的にDBEにて確定診断に至るが、CT・経口小腸造影にて同定不可症例であっても病変の存在を疑う症例には積極的にDBEを施行すべきであると考える。
索引用語 小腸癌, DBE