セッション情報 一般演題

タイトル 167:

GelPOINTを用いた腹腔鏡下腹会陰式直腸切断術の試み

演者 内山 周一郎(都城市郡医師会病院外科)
共同演者 高屋 剛(都城市郡医師会病院外科), 末田 秀人(都城市郡医師会病院外科), 佐野  浩一郎(都城市郡医師会病院外科), 金丸  幹郎(都城市郡医師会病院外科), 千々岩 一男(宮崎大学腫瘍機能制御外科)
抄録 当科では2012年4月より大腸疾患に対する腹腔鏡手術を新規に導入した。通常の5ポートで手術を行う場合、第一助手はミラーイメージとなることが多く、経験が少ないと視野の展開が困難であり、2本の鉗子を同時に扱うことはさらに困難を有する。そこで直腸癌に対する腹腔鏡下腹会陰式直腸切断術症例において助手に1本の鉗子での視野展開に集中してもらうことを目的として単孔式手術に用いるGelPOINTを用いて手術を行っている。具体的にはGelPOINTに挿入した鉗子口のうちの1本から挿入した鉗子を助手に操作してもらう。術者は右下腹部に5mmのポートを1本追加して右手の鉗子を同部より挿入して操作を行い、術者の左手鉗子とスコープをGelPOINTの鉗子口から挿入して手術を行う。内側アプローチで血管処理と剥離を行ったのちに外側アプローチで内側の層とあわせた後、ループ状にした血管テープにナイロン糸を結紮したものを剥離した腸管に巻き付けて左上腹部に穿刺した針穴から体外に引き出して頭側へ牽引する。この操作で助手の1本の鉗子が不要となるため、その後の直腸の剥離をすすめるにあたって第一助手が1本の鉗子操作に集中することが可能となる。男性は前立腺が、女性では腟壁が十分確認できるまで腹腔鏡での剥離を行う。GelPOINTの鉗子口の1本を12mmに入れ替えて口側腸管を体内で離断し、人工肛門を造設する。その後体位をSims位として会陰部より病変を摘出する。これまで男性2例、女性1例の計3例に施行したが、平均手術時間6時間27分(砕石位からSims位への体位変換を含む)、平均出血量172.3mlであった。手術時間に関しては改善の余地があるものの、助手のストレスが軽減できるという点から新規で腹腔鏡手術を導入する場合には本術式が有用であると考えた。
索引用語 直腸癌, 腹腔鏡下腹会陰式直腸切断術