セッション情報 研修医発表(卒後2年迄)

タイトル 研02:

卵巣腫瘍加療中に発症した肝炎症性偽腫瘍の1例

演者 山口 彩絵(佐賀大学 内科)
共同演者 中下 俊哉(佐賀大学 内科), 小平 俊一(佐賀大学 内科), 蒲池 紗央里(佐賀大学 内科), 岩根 紳治(佐賀大学 内科), 井手 康史(佐賀大学 内科), 河口 康典(佐賀大学 内科), 藤田 愛(佐賀大学 産婦人科), 野口 光代(佐賀大学 産婦人科), 江口 有一郎(佐賀大学 内科), 尾崎 岩太(佐賀大学 内科), 水田 敏彦(佐賀大学 内科)
抄録 【はじめに】卵巣腫瘍加療中に肝腫瘤を認め、画像上膿瘍、転移性肝腫瘍が疑われるも生検にて炎症性偽腫瘍の診断となった症例を経験した。【症例】25歳女性。2011年11月1日右卵巣腫瘍に対し当院産婦人科にて右付属器切除術施行。摘出した右卵巣腫瘍は病理結果よりyolk sac tumorの診断。腹水細胞診でclassVであったため、11月21日より化学療法(BEP療法)開始され、2012年2月までに計4コース施行された。その間発熱性好中球減少症(FN)や虫垂炎など発症した経緯あり。4月23日38℃の発熱認め、CTにて肝S5に2cm大の内部が不均一に造影される腫瘤影、その他多発する小結節影を認めた。WBC 1400 /µl (neutro 64.6 %)、RBC 233 万/µl、Hb 6.9 g/dl、PLT 0.8 万/µl、AST 27 IU/l、ALT 36 IU/l、T-Bil 0.4 mg/dl、CRP 0.79 mg/dl、AFP 2 ng/ml。エコー上はhypoechoic SOLを多数認めたが、Bull’s eye signは認めなかった。EOB-MRIではT1低信号、T2高信号、dynamic studyでは結節辺縁および隔壁様部分に造影効果が見られ、肝細胞相では低信号を呈した。脾臓にも辺縁が造影される結節をみとめ、転移性肝腫瘍や肝膿瘍が疑われた。抗生剤加療にて炎症反応が鎮静化しても腫瘍はやや増大傾向を示したため、5月9日肝腫瘍生検を施行した。門脈域は浮腫性、線維性に拡大し、線維芽細胞やリンパ球を主体とし好中球、形質細胞を交える炎症細胞が軽度~中等度に浸潤しており、炎症性偽腫瘍と診断した。7月のMRIで肝腫瘍は縮小傾向となり、現在も経過観察中である。【考察】炎症性偽腫瘍の原因については定説がなく、感染説、自己免疫説、肝膿瘍の一型などの説がある。本症例は化学療法中に発生した炎症性偽腫瘍であり、FNを繰り返していたエピソードがあるため、易感染性の状態が発生に関与した可能性がある。【結語】卵巣腫瘍の加療中に発症した炎症性偽腫瘍の症例を経験した。悪性腫瘍の加療中に発症した肝腫瘍は安易に転移性と判断せず、精査を行なうことが必要である。
索引用語 炎症性偽腫瘍, 転移性肝腫瘍